優しい甘味
 
 
 
 クロノスは完全に冷めたじゃがバタに箸を伸ばし少しづつ食べ
ながらもうすぐくるであろうパフェを楽しみに待っていた。
 クロノスとケルトからしてみれば甘いものがくるのを待つのは
楽しみ以外の何者でもないが、もしかしたら正面に座る彼にとっ
てはきついものかもしれない。
「まだ僕達のこないなぁ。」
 ケルトが待ちわびるような口調でハムサラダを口にしながらポ
ツリと呟いたが、それがどれを指すのかがわからず首を傾げるボ
リスと、同様の事を思いながらじゃがバタを口に運ぶクロノスは
まだきていないものを思い出していた。
 確か彼の記憶が正しければ、ケルトが頼んだものでまだきてい
ないのは、ピザとグラタン、桜餅にショートケーキと苺パフェの
特大。で自分のバジリコと苺タルトに特大のチョコパフェとボリ
スのコーンポタージュとドーナッツだったはずである。
 どれをとっても、というわけではないがかなり甘いものが多く
占めていることは違いなかった。もちろんそれは2人がたのんだ
以上あたりまえの事なのだが、次にくるのが本当にパフェかとい
うかとそうとも限らない。むしろ甘いものは最後にとっておかれ
る可能性のほうが高いのだから。
 もしそうでなければ先程桜餅とショートケーキがこなかったほ
うが変になる。
「ボ、ボリスさーん……大丈夫ですか……?」
 2人の雰囲気に完全に圧されてしまっているボリスに心配した
クロノスがそう声をかけていたが、ボリスはそれにはっとなった
ようにすぐに「大丈夫です。」と答えたのだった。
 それでもまだ顔の青いボリスを心配そうに見ていたがなんとも
なさそうに振舞う彼に何も言えずにいると、もう
1度店員が残り
のメニューののったトレイを持ってやってきた。
 それは、ピザとグラタン、桜餅にショートケーキ、それにボリ
スのたのんだコーンポタージュとドーナッツにクロノスのたのん
だバジリコだったが、苺パフェとチョコパフェはもしかしたら大
きすぎてこの後あらためてもってくるのかもしれない。店員が持
てる量は今回はどうやってもこれが限度だろうから。
「パフェは、最後かぁ……。」
 どこか残念そうに呟くケルトにボリスが苦笑気味に「すぐに着
ますよ。」と慰める声が聞こえたので、クロノスも同じように慰
めようとしていたが、視界を動かしたところで入ってきたあるも
のに驚いてその姿勢で固まってしまった。
 その『ある』物体とは言うまでもなくケルトとクロノスのたの
んだパフェなのだが、見た瞬間にクロノスはその大きさに助けに
行くべきかと思った。
 何をどうやってそんな風に重ね上げたのかは解からない、とい
うか考え難いというか、それははっきりといってしまえば今座っ
ている状態のクロノスよりも大きい。というよりも殆どパフェと
いうよりも生クリームの塊に苺をこれでもかと挟んだ山とチョコ
をかけた山のような状態だった。
「……………………うあぁ…………。でかっ!」
 クロノスの視線の動きに気づいたのかそのパフェの方を見たボ
リスも流石に呆れを通り越して恐怖しているような震えた声でそ
う呟いた。
 だがそれとは反対にクロノスとケルトはその来たパフェを嬉々
とした様子で受け取っていた。これ以上ないほどに至福そうな笑
みである。
「美味しいですよぉ。」
 隣りで立って食べる姿を見ながら同様にパフェにスプーンを伸
ばし口に運んだ。生クリームの甘味が口に広がしそれと一緒に
チョコの軽い苦味が広がってとても甘く美味しいものだった。
「……………………大丈夫ですか? 先、外いきます?」
 明らかにボリスの表情が硬くなっている事にパフェを食べてい
る途中で気付いたクロノスはそう声をかけたが、ボリスははその
問いに少し苦笑して首を横に振った。
「いいえ、遠慮しておきます。まだ食べていないものもありますし。」
 そういわれるとどういうとこもできず、眉を寄せているとボリ
スは手元にあるコーンポタージュを指差して見せた。隣りではケ
ルトも食べる手を止め同様に見つめている。
「解かりました。でも無理はしないようにしてくださいね。」
 ボリスの行動にさらに強く眉を寄せてそう言うと自分もきた料
理に手を伸ばしはじめた。ケルトも同様に「無理だったら言って
くださいね。」といってパフェを食べ始めた。
 そんなクロノスとケルトに苦笑しながら頷くとコーンポター
ジュを飲み始めたのだった。
 それを見て、パフェよりも先にバジリコを食べ終わらせるべき
かと思い、隣に座るケルトをつついて。
「先にこちらを食べ終わらせましょう。これは本来デザートです
し……。」
 そう言って自分のバジリコとケルトのピザとグラタンを示した。
 するとケルトもそれに頷き、パフェを少し横にやるとまずはピ
ザを手に取り食べ始めたので、クロノスもバジリコを口に運んだ
のだった。
 甘い匂いは暫く残りそうだが、とりあえずは普通の食事を取る事に なったのだった。
 
END

甘い物好きの会話は弾みそう(笑)
彼らは最後まで残りますね

  
























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