楽しい食事
 
 
 
 店員がまず持っていてくれたのはそれぞれが頼んだ飲み物とボ
リスのサンドイッチ、クロノスのじゃがバタ、そしてケルトのト
ーストとハムサラダとタマゴサンドであった。
 3人はそれぞれの頼んだものを手にとり自分の元に引き寄せる
と、運んでくれた店員に簡易的に礼を言った。
「たのんだのくるの早かったですね。僕以外1品だけだけど……。」
 手元に来たものを見て少し呆れ気味にケルトがそう呟いた。
 確かにケルト以外の2人はたのんだものは1つだけなので仕方
ないといえばそうだが。2人のたのんだものがケルトのものに比
べると作るのに時間が掛かるというのもあるのだろう。
 クロノスはその事に少し苦笑して、蒸して湯気の立つじゃがい
もを4つにわけてに近くに置かれたバターをのせた。
 クロノスからしてみればそれは当然の事で、バジリコなどはパ
スタだから当然仕方ないので、その中で作り易いものがはやくく
る当然と、バターの溶けたジャガイモを1口サイズに切りながら
思った。
「本当に少ないですよね。でも、まだ来ますよね……? あの、食
べきれるんですか……?」
 クロノスの注文した料理の数を思い出してボリスも心配そうに
尋ねてきたが、クロノスはそれに躊躇いなくにこりと晴れやかに
笑いかけると
「大丈夫ですよ。全部食べれますから。」
 と答えた。
 ボリスはその答えにきょとりとした表情をした後はっきりと渋
面になった。
 クロノスにしてみれば至極当然のことかもしれないが、いくら
なんでもにこやかにそう言われては退いてしまう。ましてやこの
後特大の甘いものふたつもくる事を思うと今から気分が悪くなり
そうだった。
 甘いものがくる事を思い深い溜息をつくと、あまり長く入られ
ないだろうなと思ったのだった。
「僕、持たないかも……。」
 何がとは言わなかったが小さくそう誰ともなしに呟くと、それ
が聞こえなかったらしい2人は首を傾げていたが、ボリスはなに
も言わずにまた溜息をついたのだった。
 彼もこんな思いをしているんだなぁと、よくわからないことを
思ってしまった。彼が誰かというのはよく解からないが。
「早く食べようよ? 冷めたら美味しくないよ?」
 一体何を話しているのかわからず首をかしげながら尋ねてくる
ケルトにクロノスははたと気付き頷いた。
 確かにケルトの言い分は最もだったがはっきり言ってボリスの
はサンドイッチなので冷める心配はない。ちなみにクロノスは熱
くて食べれなかったのでおいていただけなのだが。
「ああ、いただきましょうか。」
 ケルトの言葉ににこりと笑ってそう言うと、1口サイズに切っ
たじゃがバタを1つ箸でつまんで口に入れた。
 当然のことながら塩味のあるバターが溶けたジャガイモは美味
しかったのだが、今だ熱かったため少し熱い思いをしてしまった
のだった。それでも美味しかったので次は少し冷ましながら食べ
る事にしたのだった。
「まずかったの? なんか食べてないですけど?」
 熱そうに眉を寄せて食べるクロノスに不安になったケルトがそ
う尋ねてきた。やはり1口食べてまた箸を下に置いたのを気にし
ているらしい。どうにもずれた反応をする相手だと思う。
 クロノスはそのケルトの言葉に少しばかり苦笑気味に笑みを向
けると
「そんな事はないです。ただ、熱くて……。」
 そう答えた。
 手っ取り早い話が熱すぎて食べれないといことなのである。

  
























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