穏やかな会話
 
 
 
 そうやってお互いにスコーンを噛りながら話をしていると、ふと
気付いたことがありケルトを見詰め
「そういえばケルトさんっていつも敬語ですよね?」
 そう首を傾げながら尋ねた。
 ケルトのほうも昨日、今日の事を思い出し「そういえば、そうです
ね。」と同意したのだった。
「でも、クロノスさんも敬語ですよね? それってきっと基からって
ことですね。」
 にこりと笑ってそう言うと、クロノスも確かに自然にこの口調で話
していると思い頷いた。
 これが記憶の戻る切っ掛けになればいいのにと思いながらそんなこ
とをおくびにも出さず
「ケルトさん。できれば敬語、やめてもらえません?」
 とにこりと笑いながら伝えた。
 ケルトはそのクロノスの言葉にきょとんとしたような表情でなんで
ですか? と尋ね返したのだった。
「うーん。何でって言われるとやっぱりおかしいですし、それに…な
んか、恥ずかしいですし…。」
 ケルトの問いに困ったように頬を書きながら視線を彷徨わせて答え
たのだった。
 だが言われた方にしてみれば何でそういわれるのか解からず首を傾
げるばかりだった。
 そんなケルトの様子に気付いてか、クロノスは少し照れたような感
じで彼を指差すと
「だってケルトさんって王子じゃないですか。だからって訳ではない
ですけど、やっぱり照れくさい気もしますし、なんか、気を使われて
るみたいでちょっと…。」
 少し困ったような感じでそう呟くと出された紅茶を手に取った。
 クロノスの言葉にケルトも何か気付いたらしく、少し唸って小さく
「何で気付かれたんだろう?」と呟いたのだった。
 もちろんクロノスが気づいたのは時々出てくる彼の年相応の口調に
気付いたからだった。鈍そうに見えるし、実際鈍いことは鈍いのだが、
意外なことにもそういう所は鋭いのだ。
「う゛…あづ…。」
 隣りで難しい表情をしてなにやら考え事をしているケルトを少し不思
議そうに見ながら紅茶を口に含むと、淹れ立てなのかあまりに熱くそれ
は彼の舌を熱く焼いた。
 そのクロノスの声に気付いたけるとは驚いて彼を見上げ
「だ、大丈夫ですか? 熱かった?」
 となにやら別の口調が混じった変わった口調で声を掛けた。いい傾向
なのだろう。おかしいが。
 クロノスはそれに対しすぐに大丈夫です。と答えまだ熱い紅茶にゆっ
くりと息を吹きかけた。その紅茶がよほど扱ったのか、暫くすると冷ま
すのを諦めたらしくそれをソーサーの上に降ろしてしまったのだった。
 そのクロノスの行動がなんだか子供のようで、ケルトは小さく吹きだ
すと
「クロノスさん、なんだか子供みたい。」
 そう笑っていったのだった。
 最もそういわれたクロノスのほうは少し憮然とした表情になって「ほっ
といてください。」とそっぽを向いてしまった。
 そして、改めて紅茶に手を伸ばして、それと同時に近くの砂糖ポットに
入っている角砂糖にも手を伸ばし、
3つ、4つの砂糖をつまみ出すと紅茶
に入れた。渋かったと言うのもあるのだろうが、おそらくは個人としての
好みだろう。ミルクもいれてミルクティーとしていた。
「クロスさんはミルクティーが好きなの?」
 ミルクティーを口に運ぶクロノスにそう尋ねると、彼は笑って「ええ、そ
うです。」と答えた後
「ケルトさん、敬語で話さなくなりましたね。そっちのほうが僕は好きです
よ。」
 と両手でコップを持ったままいった。口の中に残るミルクと紅茶の甘い味
が更に彼の顔を綻ばせた。
 ケルトはそういわれたことが意外だったのか、真っ赤になると小さく照れ
隠しに
「…早く、食べて街、行こう。」
 と呟いたのだった。
 クロノスもそれに笑って「ええ、そうですね。」と答えるとスコーンを食べ
始めたのだった。
 こうして朝の一時はゆっくりと過ぎていく。
ーENDー

初日の城での生活はこんな感じ
基本的に彼はおっとりとした感じで進んでいきます
他は…ちょっとわかりませんけどね
朝のシーンは結構難しかった
皆さんに伝わってればいいんですけどね…。

  
























SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送