城外へ
 
 
 
第三夜:城下探索
 
 朝食を食べ終えたクロノスとケルトは城下に行く前に着替えよう
ということになり、一端クロノスに宛がわれた部屋に戻っていた。
 何せ今現在のクロノスの格好は白いサイズの全く合っていないダ
ボダボのシャツに、紺色のズボン−少し長い−のみなのだ。
「別に今のままでも良いんですが。」
 そうクロノスは言うのだが、流石にまだ季節の変わり目で寒いか
ら、とケルトに一蹴されたのは言うまでもないことである。他にも
少し心臓に悪い、というのもあったのかもしれないが。
 クロノスは少しばかり不服そうではあったものの、確かに今の服
は少し薄すぎると思い直して着替えに同意したのだ。そうしたのだ、
したのだが…。
「まるで、着せ替え人形ですね、僕…。」
 およそ30分ほど前から服をとっかえひっかえされ続けているク
ロノスは、外へ行く前からすでに疲労困憊と言った感じとなってし
まっていて、見ているだけでも疲れてしまい同情せずにいられない
のは、最初からずっと見ているケルトも同じである。
 そして最終的に新緑色のスカートにも似たローブに、鮮やかな蒼
のロングコートに決まったのは更に服がないといわれ部屋を移動し
た1時間もした後のことだった。
「ご、ご苦労様です。」
「いえ…。でも、疲れました。」
 何処からか持ってきたかおそらくはこの部屋に在ったのであろう
姿身の前で服を見ながらそう言うと、「この服、女性のですねぇ。」
そう表情を引きつらせながらごく小さく呟いたのだった。
 実際その服は元々女性的だったクロノスが着ていることもあって、
まるで本当に女の人が立っているような錯覚を見ているものに与え
た。
 その姿を見て、再びこの長い髪を切り捨ててしまおうかという考
えが頭を過ぎったが、今はそんな時間がないので今日1日様子を見
てと考え直したのだった。
 そんなことを考えていくとは気付かずにえるとは「似合ってるね。」
といって、早く行こうと催促したのだった。
 クロノスもそれに頷いて答えるとケルトと並んで部屋を出て行った
のだった。
 部屋を出て、廊下を歩きながらクロノスは、食堂に行くときはよく
見ていなかった城の内装に眼を奪われた。
 天井と床に接する2箇所に細かい細工の施された蒼い柱に、彼の丁
度腰くらいの位置に派手ではないがその存在を主張する白と金のアラ
ベスクが施されていて、廊下の角に銅像の龍が在ってそれも気になり、
階段の踊り場にある幕というのか、おそらくは国旗なのだろうそれに
も興味を強く引かれてどれも後ででもいいからゆっくりとじっくり見
たいと思わずにはいられなかった。
 そうやって城の荘厳な造りの扉をでて、少々…というよりもかなり
広い庭を歩き、城を囲うように流れる堀に渡っている橋をわたり、大
きく雄大な城門を抜け街へと歩いていったのだった。

  
























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