蒼き月夜の
 
 
 

 そして少し外をみると、やや青味を帯びた月が中天に差し掛かり
つつあった。その幻想的な風景にしばし見とれていた。
「あ、あの…。」
 突然顔を高潮させて自分のほうを向いてきたクロノスに対し、
ケルトは驚きながらも首をかしげた。
「なんですか?」
「あの…、外で月、見ても良いですか?」
やや興奮気味に言うクロノスに少し苦笑すると、無茶をしない。
という条件付で許可をしてバルコニーを出た。
 外は青白い月の光で幻想的な美しさを醸し出していた。
「キレーですね。」
 うっとりと見とれながら呟くクロノスを見てケルトは笑うと城
の城下を眺めた。
 正面からの強い風にケルトの肩に掛かる程度の髪と、クロノス
の長く豊かな髪を揺らした。秋に近いのかそれとも冬の終わりご
ろなのか風はやや冷たかった。
 クロノスの姿を横目で少し見てからまた前を向いた。一瞬とは
いえ見とれてしまったことに恥じたのだ。だがそれでも
「絵みたいに綺麗なんですよね。」
 そうボソッと呟いたのだった。
 実際かれは蒼白く照らされた風景に綺麗に溶け込んでいて、1枚
の絵画のように美しかった。ただこの場合ケルトにとっての問題は
別にあるわけで
「ケルトさんって蒼い月の下にいると精霊様みたいですよねーv
 少しケルトから離れたところで、なぜかしゃがみながら自分を
見上げ呟くクロノスを驚いたように見つめた。一体何を言ってる
のだろうというのが正直なところだった。
「それならクロノスさんは男性でも女神様もかくやと言う位綺麗
じゃないですか。」
 何とか反論しようと先程感じたことを素直に吐露したのだった。
最も完全な本音だったので言うのは恥ずかしくもあったのだが。
「な!? 男がキレいって言われても嬉しくないですよ!!」
「僕だって精霊様みたいって言われて嬉しくなかったんです! 
だからお相子ですよ!!」
 まるで幼い子供同士のような言いあいをすると少しの間にらみ
合って、そして噴出したのだった。
「本当にお相子ですね。」
「まるで子供のようですよ。」
 そういって暫くの間笑いあったのだった。

  
























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