穏やかな少年
 
 
 

 自分の言葉に驚いているケルトに苦笑しながら「どうしたんです
か?」と優しく尋ねなおすと、すぐに落ち着きを取り戻した。
 そして、言って良いものかと思っているのか言い難そうに考えて
いたが
「え……と、その、……看病してたときから思ってたんですけど、
…………綺麗……ですよね……。
///
「え……?」
 彼はケルトの言葉に首を傾げて考え込んでしまった。今一実感が
ないらしい。
 しきりに首を傾げて考え込んでいたが、ふと窓を見た。外は暗く
丁度鏡のようになっていて顔が綺麗に見えた。
「………………女みたい……。/汗」
 窓に映った自分の顔を見てポツリともらした1言にケルトは石化
していた。まさかそう来るとは思っていなかったらしい。
「………………まぁ、男性にしては綺麗ですし、中性的だと思いま
すけど。女性的かなぁ……?」
 真面目に考えていってるらしく、かなり難しそうは表情で言った。
 その言葉にクロノスはきょとんとしてからもう1度窓に映る自分
の顔を見た。
 全体的に細い輪郭に大きく睫毛ばさばさの瞳、細い首と肩……極
めつけに桃色の頬……。どこが中性的なのだろう? どこをどう見
ても女性的だと思えた。
「僕はどう見ても女性のように感じます。」
 ケルトと同じく真面目に考えて感想を言うとお互いに顔を見合わ
せて苦笑しあった。どうも価値観というか見方が違うらしい。
「でも、外見なんて良くても悪くても良い事なんて無いですしねv」
「あー、確かに無いですよね。痴漢にはあいますし、やっかまれる
事もありますし、引かれますし……。
/泣」
 ケルトの言葉に苦々しく同意して体験談をいったが、言った後で
はて? と首をかしげた。いつそんな目に合ったのだろう? と考
えたのだ。
 ケルトの方もクロノスと同じようにあれ? と考え込んでいた。
自分はいつそんな風に感じた事や、そういう風に感じる話しを聞い
たのだろう? と思ったのだ。
 2人はしばらく考え込んでいたが、吹っ切るように顔を上げると
「「まあ、別に気にしなくても良いですか。」」
 と同時に言って、そのことに驚きお互いに顔を見合わせて笑い
あった。
 そしてケルトはクロノスの瞳を見て、まるで宝物を見つけた子供
のように目をきらきらと輝かせた。クロノスはそのケルトの表情の
変化に何か微笑ましいものを感じて笑みを浮かべた。
(こう言うところはまだまだ子供ですねぇv)
 そう楽しそうに微笑みながらケルトがなにに気付いたのか言うの
を待っていた。
「クロノスさんの瞳って綺麗な碧色ですね。エメラルドみたいですvV」
「え? …あ、本当です。」
 うれしそうなケルトの言葉に少し驚き、もう1度窓の方を見て瞳
の色を確認すると、少し解かり難いが確かにエメラルドのような碧
色だった。
「綺麗ですよねv薄茶色の髪によく映えてるしvv」
/////////。」
 素直な賛辞の言葉に照れ入るように顔を赤くしながら微笑んだ。
「で、でも、ケルトさんの瞳もサファイアみたいな綺麗な蒼ですよ
ねv」
 それでも必死にその事を隠すようにケルトの方へと話題を振った。
彼のほうも急に話題を振られて、すぐに顔を真っ赤に染めた。
「そ、そんなこと無いです///
 もーっ、この話題はここで終わりっ! 終わりーっ!!」
 自分から振っておいてそう言い、話しを打ち切ると真っ赤な顔の
ままそっぽを向いた。
 その耳まで真っ赤になったケルトを見て、「やっぱり子供です。」
と少し笑うと
「この部屋って蒼が多いですよね?」
 そう尋ねた。
 咄嗟に出た質問だったが、結構気になってもいたことだった。
「あ、それはこの城のシンボル=カラーだからなんですよ。『白亜
の都の紺碧の城』という呼び方もあるくらいなので。」
 クロノスの突然の質問にも全く躊躇わずに、むしろ誇らしげに話
す彼に、クロノスはまた微笑ましく思って微笑むと頷き
「それは、綺麗な景色なんでしょうね。ぜひ見てみたいです。」
 そう呟いた。
 その風景を思い浮かべてみるが、どこか抽象的で現実味が無かっ
た。
「城下はこの城からの眺めが1番なんですよ。特に日の上る瞬間が
絶景なんですv」
「へぇ、見てみたいです。見れますか?」
「ええ、晴れた日ならいつでも。」
 2人は楽しそうに話して笑いあうと明日にでも見たいですね。と
言い合った。
 この話はしているといつまでたっても終わりそうにないのでここ
で一端終わらせることとなった。

  
























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