危険な観察
 
 
 
第五夜:城下探索終了
 
 武器屋を後にした3人はそれぞれに購入したものを確認するよ
うにそれぞれ持っていた袋を開いたりしていたが、ふとケルトは
火有が店を出るまで持っていなかった茶色い紙で包まれたものを
持っていることに気がついた。
「火有さん、その包みどうしたの?」
 火有の腕にしっかりと抱えられた包みを指差し尋ねた。
「ん? これか? えーとな、これはさっきの店でじーさんからも
らったやつ」
 ケルトの問いに火有は歯切れ悪くそう答えると中を見たそうに
見上げてくるケルトに内心困ってしまった。何せ中身が中身であ
る、見せていいものか判断しかねている。でもそれを表には出さ
ず「面白いもんじゃねーけど、見てみるか?」と尋ねればけると
はすぐに好奇心をいっぱいに輝かせた表情で頷いてきたので包み
を丁寧に解くと銃器を取りだしてケルトの手の中に置いた。
「これが一応銃器だろうな。何でこんなの俺に渡したのかわかん
ねーけど、危険物だよな、これって」
 ケルトの手の中に置いた重い鉄の塊にそう感想をこぼすと、彼
はその銃器を確かめるようにして持ち上げたりして眺めていた。
ボリスもケルト同様に興味があったのだろう同じように少し近づ
いてまじまじと見ているようだった。
 火有はその2人の反応にどう答えるべきかわからず苦笑した
が、それはすぐに隠した状態にして危険なものをこのまま渡して
よかったのだろうか、という疑問が今頃になって胸の中をよぎっ
た。よくよく考えてみれば危険なものであることは確かな上に安
全装置、ついていないような気がする。弾丸も、入っているかも
しれない。つまり、いつ、発砲しても、おかしくない。
「重いねー、鉄の筒でできてるんだ」
「ちょいまて!! 銃口自分に向けんな!! 弾丸(たま)でたら頭ぶち
抜かれて死ぬぞ!!
 人にも向けんなよ!」
 自分に銃口を向けて中をのぞくようにしながら感想を漏らすケ
ルトを見て、火有はあわててそう叫んで奪い取った。
 そうやって「あぶねーったらありゃしねー」とぶつぶつと怒気を発
しながら呟き元通りに紙に包んで仕舞った。その際紙の最後のほ
うに包まれていたのが一度包みを解いたことで出てきていたのだ
ろう、何かがチリンと小さな金属音を立てて落ちた。急に落ちて
きたそれになんだという疑問から眉をきつく寄せたままその音を
立てた原因があるはずの地面に視線を向けると、そこには鈍い銀
色に輝くやや大きめの鈴がころりと落ちていた。何でこんなもの
が? と疑問に思いながら荷物を落とさないようにゆっくりと屈
むとその鈴を拾い上げた。
「それ鈴ですよね? どうしたんですか?」
 落ちた音に気がついていたのだろう拾い上げる動作をしっかり
と首を動かしながら見ていたケルトがそうたずねてきた。
「さぁ? あのじーさんが一緒に包んでたんじゃねーのか?」
 何でこんなものが、という点は問いかけてきた相手と同じ感想
なのでどうにも答えることはできなかったが、とりあえずそう答
えておくと変わった形の結び目が施されたその鈴を目線の高さま
で持ち上げてみた。紐は赤と緑を重ねるように作られておりまる
で調結びを三重にしたような奇妙な結び目で、鈴そのものも彼が
よく知っているしたの一部だけが笑った口のように開いていると
いう形ではなく、まるで竹を編んだような変わった形をしていて
よく音が鳴ったものだと感心してしまいそうになる代物だった。
「そういえばさ、火有さん」
 鈴をまじまじと観察しているとケルトが何々かを思いついたの
か声をかけてきて彼は少し首をかしげると「何だ?」尋ねた。
「朝服を買うっぽいこと言ってたでしょ? 買いに行かないの?」
 うきうきしたようにそういってくるケルトに鈴をしまいながら
「そんなことを言っただろうか?」と今朝のことを思い返してみる
が、言った覚えがない。まぁ、確かに安いのを見繕おうとは思っ
ていたが。
 だから「どっちでもいい」と返して自分を見上げてくる表情から
買いに行く決定と心の中でける論付けただのだった。

  
























SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送