食後に合流
 
 
 
 色々と疑問は残るものの、とりあえずは此処にいるといった手
前移動するわけにも行かずにその店で石を見ていると、後ろから
ポスンと何かが軽くぶつかる衝撃がした。
 何かと思い衝撃のあった場所を見ると丁度腰の少し上の辺り、
そこには金色の犬……もとい髪を持ったケルトが抱きついてきて
いた。
「ケルト、食い終わったのか?」
 ケルトの姿を見てわらって頭に手を置きながらいうとケルトは
その手をどこか恥ずかしいのか鬱陶しげに避けた。
「………………うん、食べ終わった。ていうか子供じゃないんだ
よ!!」
 どうやら子供扱いでもするように頭に手をおかれたのがいや
だったらしく、頬を膨らませて頷いてから怒ったようにそう言っ
てきた。
 だがそういう姿こそが子供のようだということは周りから見れ
ば一目瞭然なのだが、どうやら本人にはよく解かっていないらし
い。
 それがわかっているからこそ火有は思いっきり噴出すと
「あっはっは。悪い悪い、丁度手を置くのにいい位置に頭があるも
んだからな。そんなに膨れんなって」
 そう言った。
 ケルトはその言葉にまだどこか膨れたような表情をしていた
が、火有の手の中にあるものに気付いたのか、それを見つめ
「火有さん、それ買うの?」
 と首をかしげて、先程とは打って変わった興味津々というよう
な表情で見上げてきた。
 そのケルトの向こう側ではボリスが急な展開にでも驚いている
のだろう、目を白黒させながらこちらを見ており、目の前のケル
トとの表情のあまりの違いにまた噴出しそうになるのを堪えた。
「金がねーから買わねーよ」
 笑うのを堪えながらそう言うとケルトは俄然張り切るといわん
ばかりに眼を輝かせたのを火有は見逃さなかった。
 何を言い出すのか何となくわかった火有はそれをやめさせよう
と口を開こうとしたが、それよりも先に
「僕がお金出すから、皆で買おうよ!」
 そういってきて、火有を少し脱力させた。
 急にぐったりと肩を落とした−ように見えた−火有にケルトは
首をかしげて見上げると、今度は先程とは違うかなり乱暴にぐし
ゃぐしゃと掻き混ぜるようにして、頭に置いた手でケルトを撫で
繰り返したのだった。
 そんな事をされてたまったものではないのはケルトのほうであ
る。ぐしゃぐしゃにされた髪を手で簡単に直しながら抗議するよ
うに高い位置にある火有の顔を見上げたのだった。
「何するんですか!」
「阿呆、もうあっちで金出してもらってるだろうが。それに俺はこ
う言うのあんま興味ねぇからいいの。代わりに服買ってもらおう
かとも思ってんだしな」
 講義するケルトに意地の悪い笑みを浮かべて腰を曲げ目の位置
を合わせるとそう言った。もちろん最後に言った服のほうは後々
誤魔化す気満々なのは、今の状態では内緒である。
 だが、ケルトはそれを完全に遠慮しているのだと思ったらし
く、更に笑みを浮かべるとかなりの大声で店の奥にいる店主を呼
んで
「全然かまわないよ。元々火有さんが欲しいって言いそうなものや
言ったものを買うつもりで結構沢山お金も持ってきたし」
 そう言ってきた。
 そんな事を言われては火有は何となく墓穴を掘ったような気が
したが、自身満々にしかも期待してるような表情で見られては、
これ以上小さい子供の期待を裏切れるほど人の悪くない火有は買
うことの受け入れる以外に選択肢がなかったのは言うまでもない
ことである。

  
























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