巫女姫と総帥の顔合わせ
 
 
 
 いくつかの石を見ているとボリスも隣りで興味深そうに覗き込
んでいるのに気付いた火有は、その幼くも見える態度に軽く苦笑
したのだった。
 正確な年齢は彼自身も覚えていないだろうから解からないが、
それでも火有よりは年上だろう彼のその行動は何にでも興味を示
す幼い子供の行動によく似ていた。それがどこか微笑ましいと感
じる自分も充分に失礼だなぁとは思わないでもなかったが。
 その苦笑する気配に気付いたのだろう、火有の方を見ると思い
切り睨んできた。
「なんですか?」
 どうやら呆れたか馬鹿にしてるとでも判断したらしいボリス
に、いや。と答えこれ以上こじれる前にとでも言うように石に視
線を戻した。
 宝石については殆ど知識はなく、ましてや守護石と呼ばれるも
のは更に縁が無かったから、本当にどれがいいかなんてわからな
かったが、ただ何となく側を離れるのも嫌で見つづけた。
 すると、ふと何かが聞こえたような気がして、少し視線を上に
向けるとそこに薄い白味を帯びた蒼い宝石が目に入った。
 それは薄い言うなれば冬の空のような色をしていて、それが銀
らしき金属の枠で軽く引っ掛けるようにしてさげられていた。
 なんとなく、本当に何となくだが、その石がついたネックレス
が気になり手にとって眺めてみる事にした火有はそれに手を伸ば
した。手にしなくてはいけないそんな気がしたのだ。
「買うんですか?」
 明らかにわかるほどになんとなくという感じで手を伸ばした火
有に行動に気付いたのかそうボリスが尋ねてきたが、自分の持ち
金が無い事をよく理解している火有はその言葉に苦笑すると
「んー、金ねーし、かわねぇ。」
 そう伝えたのだった。
 すると何時の間にか出てきていたのか、店の奥にいたはずの店
主が火有を試すような眼で見つめながら
「他に宝石を持っているなら物々交換もできるが、どうされる?」
 そう尋ねてきたのだった。

  
























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