空に似た色の
 
 
 
 ケルトもその言葉に眉を寄せてその青年を見たが確かに外傷ら
しい外傷もなく、何かの衝撃で意識を失っているらしかった。
「にしたってなぁんでこんな場所に流れてきたんだ?」
 暫く困惑気味に見ていた火有がそう先程まで青年が倒れていた
場所を見て呟いた。
 倒れていると言う点に関しては草原の真中で行き倒れのように
倒れていた彼自身もあまりいえないのだが、やはり気になること
ではある。
 ケルトもそのことについては同意見らしく頷くと
「本当に、どうしてかなぁ。」
 そう言ったのだった。
 火有はそのケルトの言葉に軽く苦笑すると川を見てから自分の
今着ている服に視線を落とした。
 服は先程この青年を岸に上げるときに川に半分入ったため、下
の方が半分以上濡れて、色が濃く変化してしまっていた。
「あーあ、服濡れちまってら。ズボンはともかく、上は乾かさねー
となぁ。」
 自分の服の状態を見てそういうや否や上のコートを脱ぎすぐ横
の岩の上に乗せたのだった。
 服を岩の上に乗せ乾かし始めると、彼自身は近くの草原に寝転
んでしまった。
「火有さん? どうしたの?」
 突然の火有の行動に首をかしげながら尋ねてくるケルトに彼は
小さく喉を鳴らせて笑うと
「何って、日向ごっこだよ。
 どーせそいつが起きるか服が乾くまではここにいるんだ。ちょっ
とはゆっくりしねーとな。」
 そう答えを返したのだった。
 ケルトはその火有の言葉にどこか複雑そうな表情をしていたが、
全くと言っていいほど離れていないのは心配しているためだと、
これはただの照れ隠しだと勝手に解釈することにして、今だ意識
を失っている青年に視線を戻したのだった。
「でも、本当にどうしてだろ? どっかでみたことあるような気が
するんだけどなぁ。」
 はて? と首をかしげながら小さく口にして考え込んだ。確か
に会った経験こそないが、どこかで見かけたような気がするのだ。
もしかしたら父なら知っているかもしれないと思って青年を改め
てみた。
「なぁ、ケルト。そいつの髪、朝焼けの青と赤の中間辺りの色に似
てんな。」
 ふと思いついたように寝転んで空を見上げながらそうケルトに
むけていって。
 ケルトの方はへ? という少々間の抜けたような表情で火有を
見た後唸りながら首を傾げて考え込んでしまった。
 火有はそのケルトの表情に片眉を吊り上げて上半身を起こしケ
ルトを見た。何でそんな事で考え込むのかと言うのが正直な感想
だった。
「おいケルト。思いつきで言っただけなんだから、考え込むな。」
 流石にこのまま考え込まれては気味が悪いと思いそう言葉をか
けてみたものの、それにも反応は返ってこずずっと考え込んでい
た。考え込むと言うよりはむしろ思い出そうと必死なのかもしれ
ないが。
 そのケルトの様子に流石に呆れたと言うように軽く溜息をつい
た火有はやっと青年の服が濡れたままなのではないのかというこ
とに気が付いた。
 まだ濡れたままなら間違いなく体を壊すから早く乾かさないと。
と青年の服の右側の袖に手を伸ばしてみたが、そこは意外なこと
に濡れておらず、1番長く川に浸かっていた足などもすでに乾い
ている様子だった。髪だけはまだ湿ってはいたが。
 髪以外は濡れていないと確認すると、未だにこちらの行動にも
気付かないほどに考え込んでいるケルトを見た。
「一体何を考え込んでるのやら。おい、ケルト!」
 いつまでたっても反応のないケルトに眉を寄せて声をかけてみ
るがやはり何の反応もなく、それどころか動く気配すらなかった。
「ケルト……? 
おーい。」
 ケルトの態度にもしやと思い体を完全に起こすと頬を軽く抓っ
てみた。
「んん。……うん……。くぴぃ。」
 だがケルトはそう唸って顔を横に増え猪ながら火有の手をのけ
た。どうやら完全に寝入ってしまっているらしい。
 火有はそのケルトの状態にやっぱりと言うように項垂れてしまっ
た。
「あーあ、完全に寝ちまって。いつ起こすかねぇ。」
 呆れ口調で呟きながら前に垂れてきた前髪を片手で後ろに掻き
上げるとケルトを眺めた。ケルトは寝ていて、この青年も意識を
取り戻す気配はない。まさしくお手上げ状態だった。
「うっ……ん……
 ……………………ここ……は?」

  
























SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送