明るい時間
 
 
 

 自分の言葉で焦っている彼の様子に火有はクツクツと笑って「なー
に焦ってんだよ。」額を指ではじきながらつっこんだ。言葉の裏に
普通にしてろという言葉を隠しながら。
 その言葉の裏にある言葉に気付いたのか、ただ単にからかわれた
のにむっとしたのか、すぐに落ち着きを取り戻すと
「え……と、その、変わった服だな……と思いまして……。///
 そう火有が雑に着ている服を見ながら呟いた。
 火有はその言葉に得心が言ったのか1つ頷くと、自分が今きてい
る服を少しつまんだ。着たまま寝ていた所為だろうか、それとも元
からか、皺だらけであった。
「ん? あぁこれ? これは制服……っつか学ランってゆーんだ。
 …………、ってか、皺だらけ……。/汗」
 普通なら考えられないほどに皺くちゃのしっちゃかめっちゃかと
なっている自分の服を見て苦笑を零した。以前から皺はあったがこ
れはいくらなんでもひどすぎだ。
 ケルトの方は火有の言葉に一瞬首をかしげた後、その言葉の意味
に気付き
「もしかして脱がせて、干しといた方がよかったですか!?」
 と叫んだ。確かにその通りだが、もう少し言葉を選べないのか。
と火有は心の中だけでこっそりとつっこんだ。
「んー、まぁ、型崩れしないようにするなら、そうしてほしかった……
かな……?
 ま、大して変わんねーとは思うけど。」
 特に気にすべきことでもない。というように頭の後ろで手を組み
ながらうーん。と伸びをして軽く言った。
 それでもケルトの方は納得のいかないような、申し訳なさそうな
複雑な表情で火有を見ていたが、彼のその髪に目を移すと好奇心旺
盛な表情で見つめた。
 火有のほうは複雑そうな表情をしていたと思ったら、いきなりう
れしそうな表情に変わったケルトの奇妙な反応にはっきりと首をか
しげた。
「わぁ、やっぱり! 火有さんの髪って日にすけると綺麗な赤にな
るんですね!」
「え? そうなのか? でも、大して珍しくなんて無いだろう?」
 きょとんとしたようにケルトの言葉にすぐに反応を返した。
「そうなんですけど、瞳の色と同じルビーレッドになってとても綺
麗です!」
 眼をきらきらさせながらそういうケルトに火有はまた首をかしげ
たがすぐに
「まぁ、髪の色なんて気にしてても特に意味ねーんだよな。」
 そうケラケラと笑いながらあっさりといった。それでも内心では
自分の髪と瞳はそんな特殊な色だったかと考え込んでいた。
「……そうですか?」
 ケルトのほうは急に笑いながら言った火有の言葉に首をかしげな
がら、疑問符をはっきりと浮かべていた。
「ああ。髪なんて前のでもなきゃ見えないし、生きてる分にゃ重要
なことでもなし。外見なんて良くても悪くても良いことねーし
/汗。
瞳の色と同じくらい意味はねーと思う。」
 首を傾げて腕組をしながら自分の中にある考えをまとめて話して
いった。
 その説明にケルトは首をまた傾げて「うーん??」とうなっていた
が一応納得して頷くとあれ? というようにもう一度今度は逆の方に
首をかしげた。別の疑問が浮かんできたらしい。
「外見がよくても悪くても…って、火有さん外見のことで何か嫌な事
あったんですか?」
「…………………ダイレクトな質問ありがと。/泣」
 ケルトの問いによほど嫌な事があったらしい火有は完全に前に体を
曲げて突っ伏した。
 彼も急に沈んだ火有に悪いことを聞いてしまったのかと焦っている。
「え? え? あ、あの。ご、ごめんなさいっっ。/汗」
 慌てて謝ってきたケルトに苦笑しながら
「いや、いいよ。ちょっと嫌なこと思い出しただけだしな。
 まー、やっかまれるわ、ストーカーには会うわ、痴漢なんて日常茶
飯事だったし…最後にゃ拉致られ掛けて、それ以来格闘技覚えたんだ
けどな。」
 今思い出すと呆れることなのか苦笑しながらため息交じりに話した。
最後に「今じゃただの笑い話だけどな。」とケラケラ笑いながら付け
足しと仰向けに寝転んだ。
「……いろいろ大変だったんですね…。」
 火有の話をコクコクと頷きながら心底意外そうに呟いた。
「んー。/汗まぁ、な。ま、あいつ(・・・)に比べりゃまし
かもな。」
「…あいつ?」
 火有の言葉で引っかかった部分を鸚鵡返しに聞き返した。火有の方
も自分の言葉に疑問を持ったのか、よっと。と掛け声で起き上がると
上を見て考え込んだ。
「んー? あれ? 誰だろ?? 思い出せねーわ。ま、いずれ思い出
すっしょ。」
 しばらく考え込んでいたがそう軽く言うつぁらっとその話題を終わ
らせた。ケルトはまだ何か言いたそうではあったが覚えてないのなら
仕方ない。と納得して頷き、「にしても前向きな人だなぁ。」と同時に
思ったのだった。
 この話はここで話題が途切れたので一端終わった

  
























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