第一話:始まりの瞬間

始まりの会合
 
 
 

 彼はまぶしい光に慌てて体を起こしたがあまりにもいきなりすぎ
てもう1度ベッドに沈んだ。
「うぅ。〜〜〜〜〜ってぇ。……ってここ、どこだ? 俺が知ってる
場所じゃねぇな。」
 1度ベッドに沈んだ体を今度はゆっくりと上げると周りを見渡し
て呟いた。
 多少おぼろけながらも覚えている風景とここはあまりにも違いす
ぎた。
「あっ!」
「うん??」
 周りをよく見ようとベッドから降りてて部屋の中を歩き回ってい
ると、小さい子供が扉を上げて入ってきたのでそちらを見た。
 するとこちらにテケテケと歩いてきて腕をがしっとつかむと子供
とは思えない力でグイグイと引っ張っていった。
「丸2日も眠ってたんですから、じっとしててください!!」
「え? 俺そんなに寝てたのか?ってゆうかなんで俺ここにいるの?」
 ベッドに押し込まれながらも彼は少年にここにいる理由を尋ねた。
「ここにいる理由ですか?
 僕がよく行く野原に倒れていたので僕がここまで運んだからです
よ?」
 彼が尋ねてきた事にさらりと真顔で答えてきた少年に彼は本気で
呆れてしまった。
「……よく見ず知らずのやつを連れてくる気になったな。犯罪者だっ
たらどうするんだ。」
「あ、それなら大丈夫ですよv僕の知らない犯罪者なんていません
から。」
 にっこりと明るい笑みで答えてきた。なかなか侮れないやつであ
るようである。
 半ば呆れたようにと言うか明らかに諦めたように溜め息をついた
「ここ、どこだ?」
 始めてあった人間に対し失礼ではあるが、本人は大して気にして
いないようだったし、相手の少年も気にしている様子は全くなかっ
た。
「ここですか? ここは『クロス国』の首都『ディスクトール』に
ある『フィレンス城』の客室ですよ。それが?」
 にこにこと笑ったままやはりさらりと答えてきたので、思わず聞
き逃しそうになったが、なんとか聞き逃さずに理解して
「へ―、ってことはお前、王子?」
 と笑って尋ねると少年もやはり笑って「そうですよv」とさらりと
いってきた。異様だ…。
 それでもにこにこと笑いながら普通に話しているはずなのだが、何
故か微妙におかしな雰囲気となっている……。
「ところで、名前はなんて言うんですか? 僕はケツァルコトル=
プリシアです。皆はケルトって呼ぶんでそう呼んで下さい。」
 にこにこと笑いながら子供らしからぬ口調でそれでも子供のような
―なんか変な言いまわし……。―自己紹介をしてきたケルトに彼は
「俺は火有(ひあり)だ。下の名前は……他の事も含めあんま覚え
てねぇけど、ま、いいかって感じだしな。」
 性格がもともと底抜けにあっさり風味なために気にした様子もなく
明るく言ってきた。だがケルトのほうはさすがに気にしたらしく慌て
た様子で
「ちょっ、それってだめなんじゃ……ッ!! それに、それって記憶
喪失と言うものでは?! 気にしないと行けないんじゃ……。」
 と言い募ってきたがそれでも彼に気にした様子はなくさらっとした
ものだった。
「いいんだよきにしなくても。自分の事全部忘れたわけじゃねぇし、
別に生活に響くわけじゃなし? 必要最低限覚えてりゃいいの。」
 手を振ってさして気にした様子もなくさらっと言ってくる言葉には
何故か説得力があった。
 ケルトも最初は渋っていたが本人が良いと言っているのなら良いか。
と子供らしい考え方で納得したらしい。
「にしてもここ変わってるようなぁ。」
 改めて周りを見渡しながら火有は呟いた。ケルトは不思議そう首を
傾げながら「そうですか?」そ尋ねてきた。それに彼はそれに頷いて
答えた。
「でも、もし記憶喪失なら遅かれ早かれ記憶は戻ってきますよv」
 とにっこり笑って励ましてきた。
 それに対し火有は
「ばーか、子供(ガキ)にきぃつかわれるほど落ちこんじゃいねぇよ。
子供(ガキ)子供(ガキ)らしくしてろっての。」
 と額を軽くはじいて明るく言ってきた。その表情には無理をしてい
る様子はなかった。
 それに対しケルトは少し不満そうに頬を膨らませたのだった。
「あ、そうそう。今日は大事をとってゆっくり休んでくださいね。」
 にっこりと笑っていってくるケルトにちょっと不満だったが、2日
も寝ていたんだしと思ってなんとか自分を納得させた。
「おぅ、わかったよ。」
 と1つうなずいて答えるのと同時におなかが空腹をいきなり訴えて
きた。2人とも一瞬、キョンとして笑い出した。
そして、「何か持ってきますね。」と言ってケルトが部屋から出ていっ
たが戸がしまるのと同時にドガシャンッ! と言う何かに突撃したよ
うなすごい音がして、慌ててそこに向かうと「寝ててください!」と怒
鳴られてしまった。
 しかたなくベットに戻って足音が聞こえなくなると呆れた口調で
「大丈夫かねぇ、あいつ。」
 と半分笑いながら呟いたのだった。

  
























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