次の予定
 
 
 
 ケルトの提案をすんなりと受け入れた神巫はボリスはどうする
かというように、視線を隣で突然決まったことに対し追いつけな
いでいる青年に向けた。
 このまま共に連れて行ってもいいが、彼自身のことを思えばで
きれば1度城に帰したほうがいいとも言える。彼は事故で倒れて
いた立場なのだ。気がついたからとはいえ、できれば1日は安静
にさせておくべき人間である。………………うっかりとはいえ失
念していた人間が言えるものではないが……。
「ボリス殿はいかがされる? もしおつらいようならば1度城に戻
るが……」
 ボリスの体調を気遣うようにして言う神巫の言葉にケルトも途
中で気がついたのかボリスのほうへと視線を向けた。
 神巫は丸1日眠っていたということもあり安静にせざる終えな
かったのだが、彼はすぐに意識を取り戻したのであちらこちらへ
とつれまわしてしまった。
「あ……、そういえばそうだね。疲れたならいったん帰るけど、ど
うする?」
 ボリスを気遣うように見上げながら尋ねられた本人は、ケルト
に視線を向けると少しだけ首をかしげた。
「いいえ、そんなにつらいというわけでもありませんし、それにお
城に行く道の途中にでもあるようでしたらそのまま行ったほうが
効率もいいと思いますから、このまま一緒に行かせてもらいます」
 おそらくこちらのことも考えての言葉なのだろうが、にこりと
笑いながら言う言葉には嘘を感じないので大丈夫だろう。
 しっかりとボリスの顔を正面から見ながら大丈夫と判断した神
巫は「大丈夫ならいい」といって、もう1度確認するように一応彼
の表情を軽く盗み見た。
 顔色も悪くはないし、平気でないのならばすでにそう言ってい
るはずだ。彼はそこまで子供でもないし神巫も気づかないほど鈍
くもない。というか神巫相手に隠し事ができるはずもない。
 そう結論を下すとケルトに視線を向けて促した。服屋にいくに
してもどの道地理に詳しくない神巫に決定権は特にないのだか
ら、この場はケルトに任せるべきだと判断したのだ。
 その視線に気がついたのかケルトが2人を見上げるように交互
に見やるとすぐに考え込むように下を向いた。その際あまりにも
上を向いたり下を向いたりしたものだから頭の上にいた刻兎が落
ちかけていたが、神巫がそれとなく抑えておいた。
(乗せる場所変えたほうがいいのではないか……? 落ちる
ぞ……
)
 後ろやら前やらと落ちかける茶色い毛の刻兎の首を軽くつかむ
ようにして支えながら忠告すべきかと考えた。これからのことを
考えれば間違いなくこういうことは増えるわけだから、忠告して
おくに越したことはないかもしれないと判断して口を開こうかと
も思ったが、それは残り2人のどちらかがするだろうと自分と同
じように茶色い毛並みに手をかけている手を確認しながら判断し
て口をつぐんだ。
「それじゃぁ、いきましょうか。ちょうど帰る道の途中に服屋もあ
るし、ボリスさんの服も買いましょうか」
 ケルトがそう結論を言うために頭を勢いよくあげてしまい、支
えられていた刻兎は見事に落ちた。
「っと。解った」
「え??」
 落ちた刻兎を空中でキャッチしながら了承の言葉をかけるとそ
のまま頭の上におろしてみたが、どうやら落ちたことを根に持っ
ているらしい、ケルトの髪をこれでもかといわんばかりに引っ
張っていた。
「あいたたた!?? ご、ごめん〜」
 髪を引っ張る刻兎に謝るケルトをほほえましげに見ながら、隣
でまったく話を聞いてもらえさなそうだと落ち込むボリスの自分
よりもわずかに上にある頭に諦めろとでもいうように手をぽんぽ
んと置いたが、どうやらさらに落ち込ませてしまったらしい、沈
んでしまった。
 そのボリスの反応に困ったように眉を寄せたがそれ以外に変化
はなく、逆に肩の上にいた刻兎が何かを講義するように軽く鳴い
てきたのでそちらの頭も撫でていると、ケルトが背伸びをして同
じようにとはいかず首をなでるような形になったが撫でながら
「お前達の服も買おうね」
 といってそれに3人と共にいた刻兎も合唱するように鳴いて、
購入が決定されたのだった。

  
























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