食後に合流?
 
 
 
 その玉髄が持つ力は普通のものとは違うらしいという事は解
かったものの、具体的なことがわからず首を傾げながら見つめ
た。大抵はどんな石でもその能力や向き・不向きは解かるはずな
のだが、この石だけは何故かわからず、ただ自分との波長が合っ
ていると言うことだけが確かだった。
 そうやって暫く見つめていると隣り、というよりも腰より少し
高いぐらいの位置から金の塊がひょこりと出てきた。
「っ!??」
 玉髄の方に集中しすぎて、神巫自身からしてみれば随分と久し
ぶりに気配よりも先に背後から来た相手を視覚で認識した事に驚
き、それでも見た目は平静を装いながらその塊……いや、金の髪
の持ち主を見た。
「ケルト殿、来られたのか」
 そうして声をかければケルトはすぐに神巫の方に顔を向け、幼
い子供特有のふわりとした笑みを浮かべた。
「うん。ねぇ神巫さん、それ買うの?」
 神巫の問いに何事もなくただ頷いた。
 そして、それと称されたものは言うまでもなく今現在神巫が手
に持っている玉髄のネックレスの事で、神巫はその事に気付きな
がら曖昧に頷いた。
 そのケルトの向こうでは半分ぐらい急に現れたようにしか見え
なかったのだろう、ボリスがきょとりと紫の瞳を大きく開いてこ
ちらを見ていて、その現実のギャップにまた苦笑しそうになる。
「ああ、そうしようと思っている」
 おそらく頷いただけでは解からないだろうという事と、笑わな
いようにするためにそう言うとまた向こう側に一瞬の幻が見え
た。
『金がねーから買わねーよ』
『いえお金もありませんし、見てるだけですね』
 2つの声が同時に聞こえ、それが別々の幻のように見え、だが
それを確認する暇もなくその幻は霧のようにすぐに散っていっ
た。
 その幻に僅かの間だけ眉を寄せ、次いでケルトの言いそうなこ
とに思い至り釘を刺そうかと口を開こうとした瞬間
「僕がお金だそうか?」
 と尋ねてくる彼に神巫は今度ははっきりとわかるほどに強く眉
を寄せた。
 だがすぐにその表情を消すと眉を僅かに下げ困ったような表情
を意図的に作ると首を横に振り
「いや、かまわない。すでに飲食代も出していただいているのだ
し、もう代金代わりの宝石を店主殿に渡してしまっているので
な」
 そう伝えたが、ケルトはそれを完全に遠慮しているのだと思っ
たらしく、更に笑みを浮かべるとかなりの大声で店の奥にいる店
主を呼んで
「全然かまわないよ。元々神巫さんが欲しいって言いそうなものや
言ったものを買うつもりで結構沢山お金も持ってきたし」
 そう言ってきた。
 だが神巫はそのケルトの言葉に眉を軽く上げて寄せると怪訝そ
うな口調になっているのは百も承知で尋ねた。
「私がいうと思われていたのか?」
「全然」
 問いに対しにこりと晴れやかなまでの満面の笑みで完全な即答
を返してきた。神巫はそれに少し目を見開いてから軽く息を吐い
た。
 即答で返す方もすごいと思ったが、何となくよくわかっている
なとも思ったのは内緒と言う事にしておこう。
 それに今度は意識してみた幻の中では他の赤い髪の青年と多分
ケルトと共にきたのだろう、茶髪の……少年だろうか? その2
人にボリスを合わせた3人も買うことになったようだった。

  
























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