魔除けの守護石
 
 
 
 いつの間にやら買うことが流れだけで決まってしまいそうな事
に気付きケルトに
「ケルト殿、本当に代金の事はよいので」
 といったが、それにもまた、平気平気と今一噛み合いのない返
事が返ってきただけで神巫は完全に諦めの溜息を吐いたのだっ
た。
 そうやっているうちに呼ばれた店主が奥からゆっくりとでてき
たのに気付いた。
「あ、店主さんですか?」
「そうだが?」
 でてきたその男性に対しケルトはにこりと笑いながら尋ねたが
店主はかなり無愛想に頷くばかりだった。
「あの、此処の代金僕が払うことになったので、神巫さ……彼が渡
した代金代わりのものを返していただけませんか?」
 ケルトはその店主の無愛想さにも対し別に気にしていないとで
も言うようにそう言うと、神巫の方を指し示した。
 店主の方もそれにあわせるように神巫の方を見てきた。
 その神巫を見る目が鋭く威圧するように感じるのは気のせいで
はないだろう。何せ代金の代わりにと渡したものを自分が払うか
ら返して欲しいとは、図々しいにも程がある言葉だった。
 それが解かるからこそ返す必要はないと口を再度開こうとした
が、まるでそれを見計らうように先に店主が口を開いた。
「かまわん。だがもう加工してあるぞ」
 そう言うと服にいくつもあるポケットの1つから、ブレスレッ
ト状に加工された先程渡した石を渡してきたのだった。
 神巫はその事に驚きながらも、さっさと受け取れというように
目の前に出されたそれを手を出して受け取ってしまったのだっ
た。
 結局代金の代わりであるはずの宝石もいつの間にやら加工され
た状態で帰ってきたことに微妙なショックを受けつつ、小さくも
深く重いため息を吐いたのだった。
 そして先程の玉髄のネックレスを持ったままいくつかの守護石
を見て自分が好むものとしてブラックジルコンとファントム水晶
のブレスレット、黒髪水晶にレムリアンシードクリスタルを合わ
せたネックレスとそろいのピアスを選んで買うことに決めた。
 神巫が選んだものは、彼自身が守護石にかなり明るいというこ
ともあり自分が今必要とする能力のあるものや、もともと持って
いたはずなのが砕けてしまったので買いなおしているといったほ
うが近いものだったので、ほとんどが魔除けの力のあるものだっ
た。
 ちなみに先にも彼自身が言った通り他にも幾つかの石を持って
いるのだが、最近
(とみ)に能力が強くなってきたため必然的に持つ量が増え
てしまったのである
 隣りではケルトがなにやら真剣に店主に守護石について講義を
受け、何が合うかを聞いているようだった。
 神巫はそのケルトの様子を微笑ましいなと思いながら眺めてい
ると、先に代金を払ってしまおうかと思ったのだった。
「店主殿……これを頂いても?」
「む? あいわかった」
 店主にそう声をかけると、ケルトに何事か説明していた店主が
顔を上げ答えてきた。
「え? 駄目です、まだ選んでますから!」
 神巫の言葉にケルトが慌ててそういってきて、どうやらもうし
ばらくここで待っていなくてはならないようだった。
 もちろん神巫は最初に当初の予定通りにあの宝石を代金代わり
に渡そうと思っていたのだが、どうやらそれは適いそうになかっ
たのだった。
 そしてならば自分の分はもう選び終わったのだからと、ケルト
とボリスの分も選んでみようかと思った神巫なのだった。

  
























SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送