様々な力の守護石
 
 
 
 そうやって自分に合いそうな石を探していると後ろから人の近
づく気配がして左後ろを振り向くと、そこには口元に手を当て神
巫の選別している守護石を興味津々と言わんばかりの表情で見つ
めるボリスの顔が、かなり近い位置にあった。
「…………………………。
 貴殿も出てきていたのか?」
 振り向いた瞬間にあまりにも近い位置にある彼の顔に一瞬固
まってしまったが、とりあえず気を取り直してそう尋ねるとボリ
スもすぐに神巫のほうに顔を向けてきたが、そこでやっと彼との
距離に気付いたのか、目があった瞬間に固まり、少し間をあけて
顔を真赤に染めた。
「あわ、あわわわわぁ。ご、ごめんなさい。距離が近いのに気づか
なかったんです。」
 神巫の問いなど遠く彼方に吹っ飛ばされでもしたのだろう。そ
う言うと2、
3歩さっと下がっていってしまった。
 神巫はそんなボリスの行動に片眉だけ寄せると、口元を僅かに
笑みの形に歪めた。それは誰が見ても解からないだろうぐらいに
僅かな違いで、もちろん完全に混乱の最中にいるボリスは気付か
なかった。
「何もそれほどに慌てずともよかろうに。近かろうとさして珍しい
顔でもなかろう?」
 半ば呆れ気味に完全にボリスの方に体を向けて言うと、彼はそ
れに少し焦ったような口調で
「そんな事ないですよ! やっぱり近かったら驚きます。」
 そう言いわけをしてきたのだった。
 その近くにきたのは自分だということを完全に失念している
が、神巫はそれにはあえてツッコミをせずに溜息をついただけ
だった。
「それに珍しくなんかないくらい、美人ですよ……。」
 そっぽを向いたままそう小さく呟いた言葉に少し困惑したよう
な表情をしてから、呆れたようにはっきりと苦笑して見せたの
だった。
 そうやっていたが、また石を見るためにボリスに背を向けると
いくつかの宝石を見た。
「買うんですか?」
 しっかりとした様子で興味深そうに、それでいて鑑定するよう
に見つめる神巫の視線に気付いたのかそう尋ねてくるボリスに、
神巫は少し考えた後軽く首を横に振ると
「いや、金がないから買うきはない。」
 そう伝えたのだった。
 すると何時の間にか出てきていたのか、店の奥にいたはずの店
主が神巫を試すような眼で見つめながら
「他に宝石を持っているなら物々交換もできるが、どうされる?」
 そう尋ねてきたのだった。

  
























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