守護石
 
 
 
第四夜:宝石と武器と時兎
 
 申し訳ないと思いつつも甘い匂いのする場所にあれ以上にいる
ことができずに、外に出た神巫は先程見つけた守護石店に足を運
んだ。
 もちろん後ろが気にならないわけではにのだが、戻るだけの度
胸が流石になかった。苦手な場所にもう
1度戻りたいと思う人間
も流石にいないように思うのだが……。
 その店は先程見たときは遠目に見た程度なので気付かなかった
が、店名がなくただ売り物であるらしい守護石が所狭し……い
や、置けるだけ置かれているばかりだった。
 その置きかたに軽く首をかしげながら店の前で足を止め置かれ
ている物に眼を向けた。すると更に守護石の置き方にも首を傾げ
た。まるで見つけたものから置いていきました。とでもいうよう
に乱雑に規則もなくそのまま置かれているのだ。中には何処から
か採取でもしてきたのか土のついたものまである。
 置かれている主なものは水晶などのよく知られているものが主
だったが、その水晶だけでもルチルクォーツやアメジストなどの
ポピュラーなものから、オレンジ色の不思議な形をしたタンジェ
リンクォーツや白い影のあるファ
ントム水晶などの意外と知られていない珍しいものまで様々な種
類のものが置かれており、品数や種類は意外と豊富だった。つい
でに言うと此処にあるのはどうやら殆どが原石らしく加工も何も
されていないそのままの形をしている。
 こう言うものは置物としてはいいかもしれないが、身につける
事はできない。というよりもそんな風に使う人間もいない。
「守護石をお求めか?」
 軽く眺めていると、店主らしき男性が出てきて神巫にそう尋ね
てきたので、それに少し考えると
「そのつもりでいるのだが、この他にも?」
 そう答えて手元にあるいくつかの石を手に取り持ち上げながら
尋ねた。
 どうでもいい事だがその店主らしき男性、はっきりいって守護
石とは言え宝石を扱っている店の店主とは思えない、随分と厳つ
く顔に傷のある、言い方は悪かもしれないが強面である。
 その言葉に店主は片眉だけ上げて口元に笑みを浮かべると奥か
ら別のワゴン−といってもよいのかは解からないが−を出して彼
の前に置いた。
 神巫はそれを見ていくつかを確めるように持ち眺めた。
 1つ1つが純度の高い宝石であり高い力を持つ守護石であると
いう事が、長くその守護石世話にならざるおえなかった過去をも
つ神巫は理解できた。だが同時にこの中にはまだ自分に合うもの
はないような気もして少し眉を寄せてみた。
 神巫自身にそれなりの力があるため、守護石はそれにあった力
のある気位高いものである必要があるのだ。普通の石では神巫の
力に負けてしまうのである。それを理解しているからこそ合う物
を探しているのだがそれはなかなか見つからないのだ。
 そうやって見ていると、何かに気付いたのか店主が更に別のも
のを表に出してきた。
 それにある守護石は今までのとは比べ物にならないほどに強い
力を持ついわゆる『霊石』と呼ばれる類のものであった。
 それを見て神巫は目を見開き店主を見ると、彼はその神巫の反
応に満足そうに口元を歪めた。
 神巫はその反応に少しだけ眉を寄せ、それでも新たに出された
石を眺める事にして視線を下に移した。

  
























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