終日の時
ケルトもまた彼の読書の邪魔をするつもりはないらしく本を置
いた台の近くにある腰掛に座って彼を眺めていた。
そうやって長い沈黙がおり、音は鳥の鳴き声と風の音、そして
クロスの本をめくる音のみとなった。
だが2人ともこの沈黙を重く感じることはなくむしろ心地よく
感じていた。
そうやって2時間ほど経ったころ、ケルトはクロスの異変に気
付いた。すでに30分以上経つのに本のページが変わっていないの
だ。
「…………クロス……さん……?」
ケルトは心配してそっと呼びかけてみるが、やはり反応はなく
黙したままだった。その事に更に不安になったケルトはクロスの前
まで移動した。すると
「………………スー……。」
そう静かな、それこそじっと聞かなければ聞こえないような寝
息が聞こえてきたのだった。どうやら本を読んでいる途中で眠って
しまったらしい。
ケルトはクロスが眠っているだけと知ってそっと安堵の溜息を
吐いたのだった。
「クロスさんでもこんな風に寝ちゃうことってあるんですねー。」
口の中だけでそう呟くとじっと相手の寝顔を見た。最初は眠っ
ている相手の顔をまじまじと見るのはどうかとも思ったが好奇心
には勝てなかったのだ。
クロスの寝顔は、あの鋭く厳しい光の宿った瞳が閉じられてい
るためか優しげな印象を相手に与えていた。それに瞳が開いている
ときよりも幾分幼くも見える。
(わー、瞳開いてる時も思ったけど、やっぱり美人〜。睫毛長ーい。
かっこいー。)
ケルトはそう思いながら眺めていたが、すぐにこんな場所で眠っ
ていたら風邪を引くと気付いた。
だが、はっきりいってクロスよりも小さい彼ではそっと運ぶこ
とはおろか1人で移動させることも不可能だということはすでに
立証されていた。
かといって起こすのは失礼な気もするし、人を呼ぶのも、やは
りどうかとは思うしで、いろいろ考えて結果結局自分の魔法で彼
をベットに移動させることに決めたのだった。
その日クロスは丸1日眠りつづけたのだった。
−END−
第一話終了です
これだけにどんなけ時間掛かってるんでしょうね…。
えーと、管理人イラスト書くの遅いんで、
もしかしたら忘れたころに挿絵がつく可能性ありです
本当は一番進んでる話なんですけどね
この人の話が結構重要になる予定です
すでにあっちこちで出てますからね。
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