武器店
 
 
 
 宿を出てまず最初に向かうべきは、時間のかかる武器店。何せ
鍛えなおさなくてはならないのだ、どうやっても明日以降までか
かること請け合いなのであるため、早めに出す必要性はある。
 そう判断してまず最初に武器店などがある武器街に足を向けて
行くと、その行く先々で拝まれた。こればかりは龍人である以上
どうしようもないのだが、あまり言い気分はしないというのも本
当なのだ。ローグ自身は拝まれるようなことをしたことはないの
だから。
「本当に、何で拝まれねばならんのだ」
 過去の龍人ならばいざ知らず、今現在においてもまだ何もして
いないローグからしてみれば、それは過大評価も同然なことでも
ある。
 小さく呟きながら深くため息をつくとその拝む人々から逃げる
ように早足に武器街に向かったのだった。
 行く先々で拝まれるのから逃れるように早足に、以前からよく
懇意にさせてもらっていた武器店の足を運んで行った。
「おや、龍人の祭司様何か用入りですかい?」
 店は何故か人がおらずすぐに返ってきた反応にローグは苦笑し
て頷いた。
 もともと客が少ない店ではないし知られていないような店では
ない。もともと知られていないような店ならば龍人が懇意にはし
ないし、龍人が懇意にしているにもかかわらず誰も知らないわけ
がない、というか龍人が懇意にしているということはいわば一流
の称号を得たも同然なのだ。
 にもかかわらず店に人がいないということは、たぶん昨日の情
報で今日あたりに来ると予測して客払いをしていてくれたのだろ
う。それに対しては感謝してもし足りないものがあった。
「ここに来るさいの戦闘で剣を傷めてしまってな。修復できるか?」
 腰に下げた剣を店主に見せながらそう尋ねた。
「うーむ、これだけ傷めてはもう無理ですな。新しい剣を鍛えなお
したほうがいいと思いますぜ?」
 鞘から剣身を抜き眺めながら鑑定するように見ていたが、店主
はそういって剣をローグに返した。
 剣を受け取りながら返された言葉に苦笑した、予測していたこ
ととはいえこうもはっきり言われるといっそすがすがしい感じす
らする。さすがは長く龍人が懇意にする店の店主というべきか、
言い切り方もはっきりとしたものだった。
「そうか、では造りなおしを頼めるか? 材料は、時間もないから
私の牙を提供させてもらう」
 鍛えなおしたほうがいいという言葉にすんなりと納得した。も
ともとここまでぼろぼろになっている以上はどうしようもないと
いうのもよくわかっていた分、切り替えも早い。
 牙を材料にといったのは龍の牙ならば少し手を加えて剣の形に
鍛えればいいのだ。その少しというのは砕いて鉄に溶かし混ぜる
ことではあるのだが、それだけで普通よりもずっと早く鍛え上げ
られるのだ。
「かまいませんぜ。完成は、明日の昼ごろでどうですかいね?」
 店主の返答を聞きすぐに自分の牙の中で鋭い右上の犬歯に指を
当てると、ためらいもなくそれを引き抜いた。
 血が出ないわけでも痛くないわけでもないが、牙そのものはい
くらでも生え変わるので気にする必要はないし、材料なしに造れ
るわけでもないので二振り分の材料として左上の犬歯も抜いた。
「これでいいか?」
 抜いた犬歯を店主の手の中に渡しながら尋ねるとそれに笑みを
浮かべて答えた。
「へい。では明日の昼ごろに受け取りに来てください」
 そういって頭を下げる店主に頷くと、それと同時にもう1つの用
事を思い出しそちらも伝えることにしたのだった。

  
























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