買い物予定
 
 
 
 そのままクリスティーアの相手をシュヴァルツに任せながらサ
ラダを食べきると珈琲を一口含むと、コーヒー特有の苦味が口の
中に広がり朝からたまった疲労をわずかだか軽くしてくれた。ま
1時間と立っていないのに疲労がたまっているのは、なにやら悲
しい気がするがそのことには目を瞑ることにする。
「すまないのだが、私は先に買いに行ってもよいか? 行ったり
帰ったりを繰り返さねばならぬ分早めに出たい」
 眉を寄せ本心からすまんそうな表情になりながら言うローグ
に、クリスティーアは一瞬きょとんとした表情になったがすぐに
笑みを浮かべた。
「ぜんぜんかまわないわよ。野宿道具とかって大きいもんね」
 一応昨日の会話は覚えていてくれたらしい彼女の言葉にほっと
息をつくと、正面に座るシュヴァルツも視線で了承の意を示して
きた。
「すまんな我儘いって」
 苦笑するように笑みを浮かべると最後のコーンスープに手を伸
ばした。これを飲み終えればすぐにでも出て行くことにしたの
だ。
「ね、ローグ野宿道具以外じゃなに買うの?」
 首を傾げてたずねてくる彼女にスープを飲む手を止め考えるよ
うに手を顎に当てると考えるように視線を上に向けた。
 野宿道具ならば答えは決まっている、寝具、燃える固形燃料、
小さな鍋などだ。だが彼女はそれ以外といっている、ならばその
答えは不適切と見ていいだろう、だとすればそれ以外で何か買う
のかということと判断していいだろう。
昨日 (さくじつ)の戦闘で剣が 刃毀(はこぼ)れしてしまったからな、鍛えるために
鍛冶店にも行くつもりでいる
 それがどうかしたのか?」
 彼女が望んでいるのかはよく解らないがそう答えると、クリス
ティーアは瞳を輝かせて身を乗り出してきた。
「ほんと? 鍛冶屋に行くの? じゃぁ、私のナックルも買ってき
てくれない? 素手で殴ってると痛くてつらいから欲しかった
の。お願いしていい?」
 どうしても欲しいと表情でものがたりながらテーブルに乗り上
げんばかりの勢いで話してくるクリスティーアに渋面になりなが
らも昨日の戦闘後の手の状態を思い出し、手を保護すると言う意
味では確かに必要と判断した。
「分かった。一緒に買ってこよう。手のサイズはわかるか?」
 昨日も相当怪我をしていたのは気がついていたので彼女の行動
には眉を寄せざる終えないが、とりあえず必要なことだけを聞く
ために尋ねた。
 ナックルなどの手に直接つけるタイプの武器は手にあったサイ
ズのものを買わなくては擦れたりして手が痛く、武器の意味を成
さない場合も多いのであわせなくてはならないのだ。もちろん本
人が直接買いにいくに越したことはないがどうしてもという場合
はにかぎり、大まかなサイズだけを聞いて後で細かい箇所を直す
という方法をとることもできる。つまりは穴を広げると言うこと
なのだが、こればかりは本人がつけてから出ないと確認の使用が
ないので仕方がない。
「えーとね、横10センチで指先までが20センチね」
 左手で右手のサイズを測るように伸ばしながら確認するように
答えるクリスティーアにローグは頷いて答えた。
「ということは指を除く掌は10センチほどということだな」
 クリスティーアの言葉に隣で珈琲をコクリと音を立てながら飲
むとシュヴァルツが付け足した。掌と指の長さは同じなので指先
までとなれば大体全体の半分ほどという計算になるのだ。
「分かった購入の手続きはしておくが、後で自分でとりに行けよ? 
私の手はお前のよりも大きいのだからな」
「あっりがとう。分かった後でとりに行くから場所教えてね。も
う、住んでた場所じゃなかなかも足せてもらえなくってキャロッ
ク殴ったとき痛かったのよう」
 ローグの快諾にうれしそうに両手を握ってルンルンといわんば
かりに話す彼女をシュヴァルツは呆れ返った表情で見やった。
「殴ったのか、キャロックを」
 普通殴らんぞ。と後に付け足しながらローグに視線を向けたが
ローグもまたあきれた表情をしていたのだった。
 その後クリスティーアが早く食べ終わらせようというのでそれ
に従うようにしてローグはコーンスープを飲み終わらせると2人
に断って食堂を後にしたのだった。

  
























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