朝の会話
 
 
 
 とりあえずメニューを開いて何を食べるかを決めることになっ
たので開くと、モーニングメニューと分類された場所があり、
ローグはそこから選ぶことにした。
 その正面ではなにやらクリスティーアがどれにしようかとまさ
しく楽しげに選んでいた。
(そういえば私はともかく、彼女も朝以降何も食べてない
な……
)
 嬉々とメニューを見て料理を選ぶ彼女の姿にローグは昨日のこ
とを思い出した。龍人であるローグならばいざ知らず人間である
彼女では空腹もかなりのものだったのではないかと思えた。
(次から気をつけねばな)
 龍人と人間では圧倒的に人間のほうが脆い。怪我も負いやすい
し、病気にもなりやすい。何より食事回数が圧倒的に違うという
ことも忘れてはいけないことでもあった。
 はっきりいって彼女の行動のあまりの奇天烈さに忘れ去ってい
たりもしたのだが……まぁ、これからは大丈夫だろうと思うこと
にする。
「ね、ね、ローグはもう決めたの? 何にするの?」
 こちらが決めるものが何か気になって仕方がないのだろう。興
味津々と言わんばかりの表情でこちらを見てくるのが、こういう
のはどうかとも思うが幼い子供を思わせて可愛らしいとも思う。
実際人間として換算すれば親子並みには年は離れていることにな
るはずなので、ローグにとってはあながち間違った反応ではな
い。
 それはともかくとして何を食べるかという点は早めに決めたほ
うがいいと思い、「まだ決めてないの?」と問いかけてくる彼女
に苦笑で返すとメニューに改めて視線を向けた。
「そうだな、ではサラダとコーンスープとトーストと珈琲を頼む
ことにする」
 メニューに視線を落としながらそういうと2人はどうするのか
というように視線を向けた。
 クリスティーアはその視線の意味にいまいち気がついていない
らしく首を傾げるばかりで、ローグは苦笑するしかたなかく代わ
りにその視線の意味に気がついたシュヴァルツが答えるように口
を開いた。
「俺はサラダと珈琲とサンドイッチを頼むことにした。巫女姫殿
はどうされるのだ?」
 視線に答えるように自分の頼む料理を言うとクリスティーアに
そう尋ね返した。それでやっとローグの視線の意味を理解して彼
のほうへと視線を向けるとにこりと笑って
「私はね、卵サラダにトーストに野菜スープにサンドイッチにグ
ラタンにデザートのアイス」
 そういった。
 その表情はニコニコと楽しそうに嬉しそうにしていて、いかに
も今の状況を楽しんでいるといった感じだった。
 それを聴くとローグはそんなに食べるのかというように少し紫
の瞳を見開いてから、すぐにそれを取り繕うように軽く笑みを浮
かべた。
 そしてすぐに店員を呼んで2人と自分の注文を伝えた。
「それでは、以上でよろしいでしょうか?」
 ローグから注文を聞いた店員にそう尋ねられ、2人はそれに頷
いて答えた。
 それを確認するとそばを離れていった店員の後姿を見送ってか
ら、クリスティーアはローグのほうへ視線をむけると
「今日は食べるんだねー、昨日はスープ飲むのも苦労してたのに
さ」
「昨日と今日では状況が違う」
 楽しげにいう彼女の言葉にローグは苦虫でも噛み潰したような
表情をして言い返すとため息をついた。
 そのローグの言葉に「なんでー?」と不思議層の尋ねてくるも
のだから、さらに深いため息をついて俯いた。
「昨日龍体になっただろう?  それで燃費が悪くなっていたん
だ」
 もはや説明するのも鬱陶しいとは思うが、説明せずに納得して
くれるような相手でもないのでシュヴァルツにしたのと同じ説明
を完結にした。
「ああ、昨日のあれでか。んじゃ、毎日あのカッコになれば毎日
ちゃんとご飯食べれるね」
 ローグの説明になるほどと納得したクリスティーアはそう、な
んとも恐ろしい提案をしてきた。
「疲れるからいやだ。それでなくてもあのカッコは燃費も悪いし
目立つ上になるとき痛いんだよ」
 まるで子供のようなといってしまえばそれまでだが、そういっ
てクリスティーアの提案を切り捨てたのだった。
 その会話を聞いていたシュヴァルツはただただ苦笑するばかり
だった。

  
























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