湯上りでも疲れるもの
 
 
 
 とりあえず留めていなかったシャツのボタンを留めると、その
上からハイネックの服を着込んだ。シャツを切る必要はないし、
事実昨日までは着ていなかったのだがクリスティーアの性格を考
慮すると着ておいたほうがいいかもしれないとここ最近、という
よりもついさっき思ったのだった。
 そしてコートを上から羽織ると服の中に入ってしまっている長
い髪を外に出し上に結い上げながら部屋の外へと戸をあけて出て
行ったのだった。
「確かここの食堂は上の階にあるんだったか」
 記憶を頼りに上に上がる階段の前まで行くと、そこにはすでに
うきうきした表情のクリスティーアと困り顔のシュヴァルツが
立っていた。
「ローグ、おっそーい! 早く行こう」
 上に手を上げながらそういってくる彼女の表情は口調に反して
あいも変わらず笑顔で、怒っている気配は微塵もなく、そのこと
は困ったようにこちらに手を振ってくるシュヴァルツの表情から
も想像がついた。
「大して待ってなかろうに」
 そのクリスティーアの言葉にそう呆れた溜息と一緒に呟くとそ
ばへとよっていった。
 そしてすぐ隣についたローグの腕をがしりと掴むと上に早く行
こうと催促するように引っ張られ、それに従うようにして上の階
にある食堂へと向かったのだった。
 食堂に着くとすぐに店員だろう女性がそばに寄ってきて人数を
確認すると、窓際の得に日当たりのいい場所に案内してくれた。
おそらくこの食堂でもっともいい場所だろう其処は日の光が良く
当たりとても暖かく、また朝の賑わいを見せる町を眺めるには最
も適した場所だった。
「ずいぶんと良い場所だな。シュヴァルツ殿がいるからここに通
してくれたのか?」
 外のけち気に目をやってから正面に座ったシュヴァルツにそう
尋ねると、そういわれた当のシュヴァルツは意味がわからないと
いうように首を傾げて見せるばかりでどう答えればよいのか解ら
ないという感じだった。
「俺達だから、のほうが近いようだが……、俺が1つの判断材料
だったのは、確かだったと、思う…………」
「そうなのか?」
 少し考えるようにして答えたシュヴァルツの答えにローグは首
を傾げるようにして呟くと、シュヴァルツの立場と、役目を考え
れば必然的に同行している人種は限られる。とすればその一行に
対する礼儀ということなのかもしれなかった。
 少々、行き過ぎているような気もしなくはないが……。
「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
 席に案内してくれた女性はそういうと一度礼儀として頭を下げ
そういうと離れていった。
 3人はその後姿を見送るとローグはメニューを取り2人に渡し
て見るように促すと、自分もまた選び出したのだった。
 食事は明るく始まりそうだった。

  
























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