爽やかな(?)目覚め
 
 
 
 次の日の早朝、クリスティーアは日が昇って間もないころに眼
を覚まし起きると真っ先に部屋に備え付けられていたシャワー
ルームに入っていった。
 昨日は流石の彼女も疲れていたのか部屋のベッドに倒れこむ
と、そのまま抗う暇もなく眠りにおちてしまったので汗も流せ
ず、流石に気持ち悪かったのだ。何より、血を落とし忘れていた
のでそれが更に気持ち悪かった。
「あーもう! 血がこびり付いてなかなか取れない。髪にもあちこ
ち付いてるし、結構時間かかりそう。街を見るのに走ろうと思っ
てたのにこれじゃできそうもないなぁ……」
 体についた赤黒い血の塊に文句をいいながらごしごしと洗って
いたが、体以上に髪に付いている方が意外と厄介だと言う事に気
付いて更に憂鬱になったのだった。
 そして1時間もかけて髪についた血を落とすと、ややのぼせつ
つ上がって軽く髪についた水分ふき取ると昨日の服はぼろぼろに
なった為捨ててしまったので、別の服に袖を通したのだった。
 そして服を完全に着て、髪が乾く頃には日が完全に昇り、街に
もにぎやかな声があふれはじめていた。
 それを見てからクリスティーアは自分にあてがわれた部屋から
出ると、昨日いたローグの部屋へと足早に向かった。
 ノックもせずに部屋の中へとずかずかと勝手知ったるなんとや
らと言わんばかりに入って行くと、ローグはまだ疲れからか深く
寝入ってるようだった。
 普段のローグについては全く知らないが、はじめてあったとき
の時間から考えるにそこそこ早起きだろうと思っていたので、ま
だ眠っている事には驚いたが、なら起こせばいいのだと安直な結
論にいたったクリスティーアはローグの眠るベッドに近づくと何
を思ったのかひょいとローグの上に座った。
 だが、ローグの眠りが深いのか、クリスティーアの体重が軽い
のか起きる気配はなかった。
「ロ〜〜グ〜〜、お〜〜き〜〜て〜〜〜ぇ。
 あ〜さ〜だ〜よ〜」
 鳩尾(みぞおち)の辺りに手を置き押すようにして、それにあわせるように
間延びした口調で起こそうと声をかけると、声に反応してか、い
やそれ以上に鳩尾を押されたことによる痛みでだろう眼を覚まし
た。
 暫くは謎の痛みに眉を顰めるだけだったが、やや寝ぼけ眼の状
態で周囲を見てからクリスティーアに気付き、ついで彼女のいる
状態に気付き、次の瞬間に
「うわぁぁぁーーーーーっっっ!!!」
 悲鳴をあげた。
 理由は言うまでもなくクリスティーアだが、当の本人は何故
ローグが叫ぶのか理由もわからずにただ吃驚したといわんばかり
の表情でローグを見るだけだった。
 ついでに言うとそのローグの悲鳴は宿どころか、その宿の外の
結構遠くまで響いたのは言うまでもないことである。
「ど、どうなされた!? 祭司ど……の?
 …………………………………………………………………………
(
10秒経過)……………………。
 巫女姫殿、何をしている…………?」
「あ、おっはようヴォル!」
 ローグの悲鳴に驚いて宿の下でしていた剣の修行とやめ駆け込
んだシュヴァルツは、目の前の状況にたっぷりと10秒以上固
まったのだった。
 ローグの悲鳴に驚き飛び込んでみれば、目の前には腹の上で何
故か正座をして座っているクリスティーアと、それに座わられ顔
面蒼白で口をぱくぱくとしてどうにか退かそうとしているロー
グ…………。これで普通に反応しろと言う方が無理な話である。
 そしてそんな2人の反応などお構い無しににこやかに尚且つ、
今の状況が普通ですと言わんばかりの晴れやかな笑顔でそう言っ
てのけたのは、言うまでもなくクリスティーアである。
「説明になっていない。問いに答えろ。
 それに、祭司殿の上から降りろ、はしたない」
 まず最初に反応を返したのは言うまでもなく、すでに立ち直っ
ているシュヴァルツなのだが、とりあえず巫女である彼女に対し
どうかとは思いつつつい騒動を起こした人間に対する詰問口調に
なってしまっているのは条件反射というものなのだろう。そうい
うことにしておこう。
「うん? ローグ起こしに来たの」
 そんなシュヴァルツの言葉にもかわらずの晴れやかな笑顔でそ
う答える彼女に、2つの溜息が同時に零れたのは言うまでもない。

  
























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