明日の予定
 
 
 
 2人は駄々をこねるようにベットに我が物顔で寝そべるクリス
ティーアの対処に困り果て、もやは苦笑しかできない状況になっ
ていたがふと何かに気付いたようにローグが椅子から立ち上がる
と、それに気付いたのかクリスティーアも再び腕の反動で起き上
がった。
「どしたの?」
 ローグの突然の行動に首を傾げながら尋ねるが、ローグはそれ
をあえて無視して今日の出立時に持ってきた荷物の方へと近づき
中を確認した。
「……………………。
 どうやら明日にする事ができたようだ」
「はぁ?」
 中を確認するなりいきなりそんな事を呟いたローグにクリス
ティーアは素っ頓狂な声を上げた。
 その隣りでは声こそ上げなかったものの思案顔でシュヴァルツ
が口元に手を当て考えるように俯いていた。
「……………………食料がない、ついでに治療道具も……」
 困ったように中身を示して言うローグにシュヴァルツはやっと
納得したように頷いて、クリスティーアはその言葉に自分の荷物
の中を思い出した。
「あー、私もどっか街で買えばいいやと思ってあんま持ってきてな
かったと思う。」
 そう持ってきたときのことを思い出して呟いた。
 これからの道程を考えれば食料が少ないのはかなり困る。とい
うよりも危険である。何時何処で足止めを受けるか解からない旅
なのだから食料が少ないのだけはできる限り避けたい。
 つまり明日にする事とは、必要物資の調達という事である。
「んー、じゃぁ何買うの?」
 要領をようやく得たクリスティーアはそう単刀直入にローグに
尋ねた。
「……………………少しは考えろ。すぐにわかるだろう」
「考えんの苦手なのよ。と言う訳で頭脳労働は任せるわ」
 ローグの言葉に即答と言う形で片手を上げ、あっけらかんと笑
い言うクリスティーアに、ローグは今更ながらにこんな巫女で大
丈夫なのだろうかと頭を抱えてしまった。
 そんなローグの思考を短いながらも何となく読めるように、と
言うよりも今のクリスティーアの行動では誰もが思いそうなこと
なのか、シュヴァルツは同じような事を考え少しばかりクリス
ティーアから視線をそらして深く溜息をそっと吐いたのだった。
「今度からでもいいから少しは考えるようにしてくれ。
 まず買うものは、第一に食料だ。人数が4人に増えた以上今の
量ではまず間にあわない。次に薬品、特に傷薬の系統だな。先の
戦闘でそれなりの量を使ったから、補充の意味もある。
 他には固形燃料や、野営道具だな」
 頭脳労働をかってに任されたローグは一応クリスティーアに無
駄かもしれないと思いつつもそう言って、明日買う必要なものを
上げていった。
 クリスティーアはそのローグの説明になんの疑問もなく頷いて
じゃぁ、誰が何を買いに行くの? と楽しげに尋ねてきて、ロー
グを再びうめかせるのだった。
「それまで私が決めるのか…………」
「当り前でしょう。適材適所よ適材適所」
 何となく納得できるようなできないような言葉にローグがまた
小さく低くうめいた事は、クリスティーア以外周知のことである。
「あ、えーと、ならば俺と巫女姫殿とで食料と薬を買いに行く事に
してはどうだろうか。俺はこの町の地理にも詳しいし、多少だ
が、融通も利くから。
 そして祭司殿は固形燃料とその他の必要なものを購入すると言
う事でどうだろう?」
 あまりにもローグ1人に負担がかかっている事に気付いたのか
そう言うとローグはなにもいわずに1つ頷き、クリスティーアは
元から異存はないとでもいうように笑顔で頷いたのだった。
「では今日はこれで解散と言う事でいいな?」
 全て決まったと判断したローグはそう言うと、2人も1つ頷い
て解散ということになったはずなのだが。
「んじゃ、私ここで寝てもいい?」
「自分の部屋に戻れ!! ここは私が休む部屋だ!」
 クリスティーアの言葉にローグの怒声が深夜の部屋に響いて、
今度こそ解散となったのだった。
「で、では、祭司殿ごゆっくりとお休みくださいますよう。明日も
早い、と思うので……」
 シュヴァルツはローグの怒声に文句を垂れているクリスティー
アと押して部屋を出る際にそう言い残していったのだった。
「……………………大した事はなかった…………そう、なかったは
ずなのだが………………。疲れた……」
 ローグは台風一過といわんばかりだったクリスティーアの行動
に振り回された疲れからベッドに倒れこむと、そのまま深い眠り
に落ちてしまったのだった。

  
























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