巫女姫と総帥の顔合わせ
 
 
 
 そして、本部の大扉の前までくるとふとあることに気付きまた
足を止めた。
「そう言えば先程も気になったのだが、よいのか? 今から出
て。」
 よくよく考えれば総帥が何の準備もなしにいきなり出ては周り
が乱れるのではないかという、ごくあたりまえの事に周りに流さ
れたのか気付けずにいたことに内心で軽く舌打ちをしながら尋ね
た。
 シュヴァルツはその様子に少しだけ口元に苦笑を浮かべてから
軽く首を振って心配ないと示した。
「騎士団の総帥は祭司・巫女姫に必ず同行することになっているか
ら。時期が近くなれば自然にそういう役割の分担がはじめられ
る。総帥の代行はアートルム……先程部屋で指示を出していた副
官が行う事になっている。」
 そう簡潔に説明を返すと。ローグはそれに沿うかと納得したよ
うに頷き改めて大扉の前に立つとシュヴァルツが扉を開けるよう
指示を出した。すると扉をあけようとした1人がふと思い出した
ように入り口の前に1人の少女が祭司殿を待って立っていると
いってきて、ローグは一気に嫌な予感に捕われた。
 そんな事というよりも、自分の事を知っている人間−それも少
女−など1人しか思い至らない。
 完全に頭を抱えそうなローグを心配げに見やってから、解かっ
たと伝えると大扉が改めて開かれた。
 そしてそこにはローグの予想通り、ちょこりと金の長い髪の殆
どを上に緑の布で纏めている少女が地面に直に座って待っていた
のだった。
「何故にそこにいる……。宿に戻るようにと伝言を頼んだはずだ
が………………。」
 完全に項垂れてしまっているローグを気遣わしげに見やってか
ら、目の前の少女
−クリスティーアに尋ねた。なんとなく、理由はわかっているの
だが。
「んー、最初はそしてたんだけどねー。ごっめーん、道に迷っ
ちゃったぁ。」
 最早悪びれる様子すら見せない彼女にローグは何も言う気力が
しないのか、深く溜息をついただけだった。
「もういい…………。シュヴァルツ卿、彼女が巫女姫・クリス
ティーア殿だ。」
 そう隣りで訳がわからずに無表情のまま突っ立っているシュ
ヴァルツに説明すると、クリスティーアは興味深そうに立ち上
がって彼の前にすっと立った。
 シュヴァルツも彼女の動きを視線で追いながら前に立つ姿を見
やってから、今までにない型破りな方だな。とローグが彼女のこ
とを話す際妙に疲れた表情をすることに納得したのだった。
「はじめまして、巫女姫殿。漆黒の騎士団・現総帥シュヴァルツ=
ヴォルモントと申し上げます。この旅におかれましては若輩なが
ら同行させていただく由にございます。どうぞお見知りおきを」
 そう一応の礼儀を持って同行の由を伝えると、彼女は少しだけ
微妙な表情をしてから頷いた。
「シュヴァルツ……ね。よろしくね。私はクリスティーア=ロレン
スよ。」
 そうして、いつも通りの明るい笑顔でそう言うと、シュヴァル
ツに手を差し出した。握手を求めているのだろうが、当のシュ
ヴァルツはどうすべきかと困ったように首をかしげていた。だ
が、ローグはあえてそれに助け舟を出そうとはせず傍観してい
た。手を出すべきかどうかが解からなかっただけかもしれない
が。」
 結局手を取らずに途惑っていると判断したクリスティーアが強
引に彼の手を取ることで一応まとまり空は、完全に日が落ちてい
た。
 
END

  

クリスティーア暴走しまくり
ローグの苦労はこれからです?
仲間も増えて常識人と非常識人とボケとツッコミ誰が多いのやら(笑)
























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