夕刻の帰還
 
 
 
 外が暗くなっている事にシュヴァルツも気付いたらしく、外を
ぱっと見てから申し訳なさそうにローグに頭を下げた。
「申し訳ない、もう暗くなってましたね。」
 そういう声も本当にも仕分けなさそうで、それに軽く苦笑すると
「いや、私も気づかなかった事だ。それに今の時期は日の沈みはま
だ早い。時間を失念しても仕方はないだろう。」
 そう言って席を立った。
「ではそろそろ帰らせてもらう。今回の巫女姫殿はじっとしていて
くれないから、遅いといってさして土地勘もないのに出歩いて迷
子になりかねんのでな。」
 そうクリスティーアの大まかな性格を把握しているローグは
言って苦笑した。そして小さく「もう出てるかもしれんが……。」と
付け足して、それに気付いたシュヴァルツはまた不思議そうに首
を傾げてから苦笑した。
 つまりはすでに宿から出ていて迷子になっているかもしれない
ということであり、もしそうならば見つけるのは相当に苦労する
だろうという事だった。
 そして、部屋の扉の前まで歩くローグを応用に席を立ち、早足
で先に扉の前に立つと扉をあけて先に出るように無言で促した。
 ローグはそれに少し申し訳なさそうにに従うと部屋を出た。
 そのすぐ後ろをシュヴァルツも無言でついて歩くと周りを忙し
げに歩いている人間を捕まえて
「私はこのまま祭司殿たちの度に同行し暫く戻らん。副官に従うよ
うに他のものに伝えるよう。」
 そう言うと、相手も姿勢を正しすぐに歯切れのいい返事をして
「おきおつけて。」というと伝令を伝えるために先程よりも速く
走っていった。
 ローグはその言葉にはっきりと驚いたという表情で立ち止まっ
てしまったが、横を見ていてたのか、それともよほど近くで歩い
ていてそれに反応が遅れたのかシュヴァルツがその背にまともに
ぶつかる衝撃がきた。
「痛っ…………。どうかなされましたか?」
 小さく痛みの声を上げた後、それを取り繕うように声をかけて
くるシュヴァルツにすぐにやや歪んだ笑みを貼り付けて顔を向け
ると
「少し驚いただけだ。なんでもない。」
 と答えてまた歩き出した。
 とんでもない事になっていくなと自分の中で軽く頭を抱えなが
ら。

  
























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