教会への道
 
 
 
「こちらは初めてですか? まずは医療区にご案内いたします。そ
こで治療が終わったら他もご案内いたしますね。
 それと是非教皇様にもお会いください。きっとお喜びになりま
す。巫女姫様、祭司様。」
 青年−名前はアスールというのだと名乗ってくれた−は嬉々と
した様子で2人に話し掛けていると、1回振り向いて2人の事を
そう呼びまた前を見て医療区へと案内してくれた。
 クリスティーアは彼が自分達の事に気づいている事に驚いてい
るようだったが、ローグは薄々そのことには気付いていた、とい
うよりも予測していたので特に驚きはしなかった。
「教皇と言うと、ルクールドラメール殿? 今は弱冠16歳の少女
と聞いていたが、じっとしておられるのか?」
 教皇という言葉に首を傾げてそう声をかけると、青年はびくっ
と肩を震わせた後かなり落ち込んだように頭をがくりと下げた。
どうやら聞いてはいけないことだったらしい。
「すまない。聞いてはいけなかったか。」
 相手のその反応に流石に悪いことを聞いたと思ったローグは謝っ
たが、それに対して頭を横にふって大丈夫と示してくれたが、こ
ちらを見ない時点でかなり落ち込んでいるのは眼に見てわかった。
 その相手の様子にますます困惑した様子で頬を書いていたが、
どうしようと思っているとポツリと
「そうですよね、まだ若いんですし好奇心が強いんですよね。しか
も世話好きだからこちらがどういってもすぐに医療区に来てしまっ
て、それで驚くのは絶対に私達や来た人達で本人は当然のことを
してるとしか思ってませんし、確かにそれは間違ってないからど
うしようもないし本当にどうすれば良いのか……。」
 どうやら相当の問題児らしい教皇の事を2人を関係無しに独り
言のように話す青年に、2人はお互いをみやってクリスティーア
は苦笑して、ローグははっきりとばつの悪そうな表情をしていた。
 確かにこの話題を振ったのはローグなので仕方ないのかもしれ
ない。
「それはそれで、教皇としての素養は大きいのではないか? 教皇
は本来人を癒し、助ける立場の事だ。
 それを思えば常にそう言う行動をしようとしているということ
は生まれつきその素質があるということだろう。将来偉大な教皇
になることは間違いないと思う。
 そう悲観する必要はないだろう。おそらく今は周りへの思い遣
りが暴走し易いのだろう。16といえば多感な時だからな。」
 流石に何かフォローを入れないといけないような感じだったと
いうこともありローグは珍しくも長く言葉をつなげて言うと、こ
ちらを見てきたアスールに笑いかけた。
 アスールもその言葉に少し安心したらしく笑みを浮かべると、
最初と同様に胸を張り前を歩き出した。
 どうやら立ち直ってくれたらしい彼に2人はほっと胸をなでお
ろすと、今度は回りの反応が気になりだした。
「……………なーんか、拝まれてない?」
 そう、クリスティーアの言葉通り周りの特に年が上の年長者な
どが彼らを見ては両手を合わせ拝んでいた。
「………………あまり、良い気分はしない…………な。」
 周りの状況に少し苦い顔をしながら呟いた。
「龍人なんて神様と同じなんだから、当り前じゃないの?」
「………………拝まれた経験はない。」
 クリスティーアの遠慮の欠片もない言葉に眉をきつく寄せ眉間
の皺を深くすると、低く答えた。
 確かに1部の地域では龍人族は神として崇められていると聞い
たことはあるが、それはあくまでも1部の地域での話であって、
ローグ自身はそう言う経験はなかった。
 眉をよせ顔を顰めているローグをクリスティーアは面白そうに
見詰めていたが、案内のため前を歩いていたアスールが立ち止ま
り、着きましたよ。といってきたので前に視線を向けた。

  
























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