背後による殺気
 
 
 
 太さも大きさも2人の裕に倍はありそうな巨木で、この下敷き
になれば死は免れなかったであろうことは容易に想像できた。
「な、何でこんなのが倒れて来るわけー?!」
「…………倒れてきたと言うよりも、これは倒されたと言ったほう
がよいな。」
 木の落ちた衝撃で上がった土煙が収まって、落ちてきたそれを
みたクリスティーアの言葉にローグは冷静な一言を返した。
 お互いの姿は木に挟まれて判らないが無傷であると言うことだ
けは確かだった。
「倒されたって? 何に?」
「其処まではわからん。だが、人間ではあるまい。
 人間ではこれを切るのは時間が掛かり過ぎるし、こんな風には
できん。たとえ出来たとしても切り口がこんな風になることはな
らんな。」
 クリスティーアの問いにまた即答した。
 ローグは正確になにが木を倒す原因となったのかを調べるため
に根元のほうに手を伸ばし、切り口に触れた。
「? これは、切られたというよりも、食い千切られたか、折られ
たといったような感じだな……。」
 切り口を見て微かに首を傾げると口の中で言うように呟いた。
 「どうしたのー?」とクリスティーアの声が彼にむけられたが、
それにはあえて反応を返さず何がこうしたのか、こういうことが
できる魔物を片っ端から上げていき、更に其処からこのあたりの
土地に分布するものを上げていった。
「クロックラビット、キャロック、ビーアンク、クインビー……い
やクインビーは木を倒さないか。
 あちこち何かに食われたような後、半分くらいは圧し折ったと
いった感じだが、ということはキャロックかビーアンクか……も
しかしたら両方か……?
 それに折ったのならクロックラビットは小さすぎるな。」
 そこまで口にしたところで背後に殺気を感じ腰に帯びた双剣を
抜くのと同時に振り向くと、彼の目に映ったのは、巨大な体躯に
鋭さに特化した長大な爪を持つ魔物、ビーアンクがその鋭く巨大
な爪を振り下ろす姿だった。

  
























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