お互いを微かに知り
 
 
 
 一方クロノスにそういわれたボリスは少し考えた後「そうですね。」
微妙に納得しきれてない表情で答えた。
 クロノスはボリスの内心までは解からないまでも、今の言い方で
は納得できないというのはわかった。彼自身も、納得できてはいな
いのだから。
「大丈夫といわれて納得できるか経って、あまりいませんよね…。
僕もそうでしたし。
 それでは城下の戻る前に、服乾きました? ケルトさん。」
 ボリスの反応に自分の言葉の不自然さを感じて眉を寄せながら立
ち上がった彼は、ケルトを見つめて尋ねた。
 ケルトもそのクロノスの言葉にはたと自分の服に目を落とした。
服はまだ少し濡れているというよりも、湿ってはいたが、乾いてい
るに分類されると思って立ち上がって1つ頷いた。
「大丈夫。濡れてないよ。」
「そうですか。よかった。
 それじゃ、城下に戻りましょうか。ね、ボリスさん。」
 ケルトの言葉ににこりと笑って頷くと、クロノスはまだ座ったま
まのボリスに手を伸ばして声をかけた。
 ボリスはその手を少し迷って取ると、少し引っ張られたのでそれ
にあわせて立ち上がった。
 ケルトも一緒に立ち上がるのを見てから城下へ戻る道を歩いて息
後ろを向くと
「ケルトさーん、ボリスさん。早く行きましょう。」
「うん。ボリスさんも早く一緒に行きましょ? 住んでた場所とか
わからないままなら
()()()泊ればいいし。」
「え!? ええ。そうさせてもらいます。戻ればいいんですけど…。
 あ、それと、ケルト君、敬語はやめてくださいね。」
 急なケルトの提案にボリスは僅かに途惑ってからそれを受け入れ
た。その後すぐにケルトに敬語の事を言ったのは神巫との会話を聞
いてのことも、関係しているのだろう。
 ケルトもクロノスもボリスが僅かに途惑った正確な理由はわから
なかったが、おそらく急なことで途惑ったのだろうと思う事にした。
 受け入れてくれたのは純粋に優しい人だからだと2人は少しずれ
た見方をしていた。
(にしてもケルトさんって、本当に優しい方ですよね。困ってる人
をほっとけないんでしょうか?
)
 ボリスへの態度を見てクロノスは内心で笑いながらそう思った。

  

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