視線集中
 
 
 
 ケルトと別れて先程見た場所で改めて服を選ぼうと足をむける
たが、同時に何故か周りの視線も自分に向かって動いてきたので
変な服と言うわけでもないのに見られていることに首を傾げた。
(もしかしてもなく、もしかして赤い髪って珍しいのか? でも俺
の髪って赤茶、だよな?? ケルトがそういってたし、真っ赤っ
てわけじゃねーだろうし、何でだ???
)
 なにやら唯一目立ってしまいそうな赤い髪を気にしながら視線
から逃げるように早足で移動していった。
 そうやって早足に移動していたら、どうやら先ほど見つけた場
所を忘れてしまったらしく壁際のほうへよって足を止め、周囲を
周りを見渡してみた。
(やべ、どこだっけ??)
 ケルトと回ったときは確かに場所を覚えていたのだが、周りの
視線が気になって早足にしかもめちゃくちゃに移動してしまった
所為でどこだったかわからなくなってしまったので今考え込んで
いるのだ。
 結局その場で立ち止まっていても無駄に視線が集まってくるだ
けなのでゆっくりと歩きながら改めて服を探すことにしたのだっ
た。
 服を探しながら店の中を歩いていると、店の中を回った時に見
つけた自分好みの服のならんでいる場所を見つけることができた。
 いろいろな動きやすそうな普段着が並べられている場所で足を
止めるとその中からいくつかのハイネックのそれでも首周りが苦
しくない服を選んでみていった。
「へー、異世界ってこともあって服なんて絶対に変だと思ってた
けど、意外と普通だな。これなんて俺んとこにも有りそうだし。
ってか髑髏はねーだろ、髑髏は」
 なんとなく安心してそう呟くと服に手を掛けた。
 どうやらケルトから借りた−ケルト曰く貰った−服のデザイン
がいやにファンタジーっぽかったのはどうやら王族のものだから
らしいと分かった。
 服を選ぶときはついつい首を隠すものを探してしまう癖が火有
にはあった。理由は首の後ろ、調度うなじの下辺りにある赤いや
けどの跡のような痣があってそれを隠すためなのだ。両親から聞
いたところではこれは自分が生まれたときからあるらしくどうに
も変な形をしていて、これを見た友人談によるとなにやら狼が遠
吠えをしているような形をしているのだとか。
 火有自身は気にしていないが、見る人間見る人間全員そのこと
を聞いてくるのでいいかげんいやになってきたため隠すようにな
ったのだ。とはいえぴったりしたものではなくかなりゆとりのあ
るものなので隠すという店ではあまり役目を果たしていないよう
な気もするのだが、本人はそれで納得しているらしい。
「できれば無地かいいよなー。青とか一色のやつ。前柄物買ってみ
たけど、柄消えてけっこういやだったし……」
 普通の普段着が並んでいるということもあってかなかなか無地
の気に入る服というのはなくて、あれでもないこれでもないとあ
る服を片っ端から確認しながら探していくとやっと気に入る服を
見つけることができた。
 それは青色のかなりゆったりとしたハイネックの少々薄手の服
で、デザイン的にも火有が特に向こうでも好んできていた服と同
じデザインのものだった。
 その服を買おうと決めると後はズボンも買わないといけないよ
なぁと自分が今現在はいている服を軽く引っ張ってみるとズボン
が置いてある場所を探そうと周りを見た。
「って、後ろかい……」
 ズボンは火有が今いる場所の真後ろに並べられていた。
 火有はその中から黒い丈の丁度なズボンを選んでそれを買うこ
とに決めた。服ほどズボンにはこだわりを持っていないらしい。
 その選んだズボンを抱えるとコートは今着ているやつをもらっ
たままでもいいかと思いながらケルトたちに合流するためにその
場を後にしたのだった。

  
























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