海の蒼の店し

　店内は名の通り海の中を思わせる鮮やかな蒼で統一された、
落ちついきのある造りだった。

　蒼には心身を落ち着かせる効果があると、誰かがいっていた
が、蒼メインの店内に置かれた観葉植物が目にも優しいものだっ
た。

｢……いい香りですね。紅茶かな？｣

｢ん？　あ、そういやそうだな。店の内装見てて気付かなかった。
うまそー。｣

　ほんわりとした感じに呟くボリスの言葉に、店内の香りに気付い
た火有はそう呟いた。

　ケルトはその火有の言葉に軽く苦笑すると、近寄ってきた店員に
少し広めのテーブルに。と伝えた。店員の方はその言葉に首を傾げ
たようだがすぐに、１番奥にある少し大きめのテーブルに案内して
くれた。

　案内されたテーブルは大体６人ほど座れそうな広さで、店の角の
方にあった。

　火有はそのテーブルを見て、２人が座るのを待って、ボリスが壁
の手前に座りケルトがその反対側の中央あたりに座ったのを見て、
ケルトの隣りに腰を降ろした。

｢なにたのみます？｣

　席に座るとすぐにケルトがそう尋ねてきた。その手には２枚の
メニューが持たれており、店員の方もすでに聞く態勢になっていた。

　ボリスは少し身を乗り出してケルトから２枚の内片方のメニュー
を受け取ると、パラリと広げて見やすいようにおいた。

｢そう、ですね。サンドイッチとコーンポタージュと、あ、この
ドーナッツも、それにミルクティーで良いです。｣

　何を頼むのかきになっているケルトにそうにこりと笑って言う
と、ケルトは今度は火有に視線を向けてきた。

　明らかに期待の眼差しで見られ、何を頼むか決めかねていた火有
は苦笑して、改めてメニューを見ると

｢んー、珈琲とツナサンドに、野菜スープ。あ、それと珈琲ゼリー
１つ。｣

と答えた。

　その答えにケルトは少し意外そうに瞳を見開いたが、すぐに火有
が不思議そうに見ているのに気づき、自分のメニューに視線を落
とした。

　火有はそのケルトの態度にさらに眉を寄せた。

　元々火有は朝と夜を確り食べ、昼は少な目にという生活をして
いたからいつも量はこれぐらいだ。まぁ、ケルトは初めてだから
仕方ないのかもしれないが。

｢僕はピザとトーストとハムサラダにグラタン、タマゴサンド。
あ、それから桜餅と苺パフェの特大に珈琲のキャラメルマキアート
をお願いします。あ、ショートケーキもあるんだ。これも追加で。｣

　案内してくれた店員にそのまま注文をいったケルトだが、その
あまりの量に火有はケルトを見たまま硬直していた。いくらなん
でも食べすぎというものだろう。

｢わ、わりぃ。｣

　注文の確認をとっていた店員にそう声をかけると、相手はすぐ
に手を止め火有にに｢なんでしょうか？｣と声をかけてきた。

｢珈琲はブラックで、それとこの梅干のにぎりと緑茶の追加を。｣

　と付け足したのだった。

　店員はそれに頷いて

｢わかりました。ご注文は以上でよろしいでしょうか？｣

　と聞いてきたので、それに頷いて答えた。ケルト達も頷いたのを
確認して離れていった。