お互いを知りえること
 
 
 
 一方火有にそういわれたボリスは少し考えた後「そうですね。」
微妙に納得しきれてない様子で答えた。
 火有もボリスの内心はなんとなくわかった。彼自身こんな風に
言われても納得できるものではない。
「ま、納得するしないは相手の意思だしな。
 んじゃ、……………………なんか忘れてんなぁ。」
 ボリスの反応に苦笑気味に納得すると伸びをして立ち上がった
後、何かを忘れているような気がしてはて? と首を傾げた。
 ケルトもその火有の言葉にん? と首を傾げて彼を見ると、彼
の服は蒼の短いコートだけで何かたりない事に気付いた。
「火有さん。上のコートは?」
「うおっ! 忘れてた。それかっ。」
 ケルトの突っ込みにやっと何を忘れていたのか思いだした火有
は、先程服を干すのにおいた岩の上から服を取ると、乾いている
のを確認して着込んだ。
「んじゃ、改めて。城下に戻るとすっか。」
 コートを着込んで伸びをするとケルト達を見てそう言い、すたす
たと城下へ戻る道を歩いていった。
「うん。ボリスさんも一緒に行きましょ? 住んでた場所とかわから
ないままなら()()()に泊ればいいし。」
「え!? ええ。そうさせてもらいます。戻ればいいんですけど……。
 あ、それと、ケルト君、敬語はやめてくださいね。」
 急なケルトの提案にボリスは僅かに途惑ってからそれを受け入れ
た。その後すぐにケルトに敬語の事を言ったのは火有との会話を聞
いてのことも、関係しているのだろう。
 ケルトはボリスが僅かに途惑った理由がわからなかったようだが、
火有はそれについてはただ家の住人に迷惑ではないかと思ったため
だろうと思う事にした。
 だがそれでも受け入れたのはケルトの純粋な善意を拒絶しにくかっ
たのだろうと、火有は大まかに予測していた。
(にしてもケルトのやつ。俺もそうだけど、こう言うことに縁があん
のかねぇ。ま、いいけどさ。
)
 ボリスと楽しげに話しているケルトを見ながら火有は少し不思議
そうに思ったのだった。

  
























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