優しい会話
 
 
 
 火有の言葉にそうなんだ。と呟いて何かを考えているのかじぃっ
と自分の手に持ったスコーンを見つめていた。
 急に何も言わずにスコーンを眺め始めたケルトを不信に思い声
を掛けてみることにした。
「ケルト? どうした? スコーン見つめて。食えねーの?」
「ヘ!? いえ、そんなことないですけど。」
 驚いたように顔を上げて答えるケルトに火有は少し片眉を上げ
考えるような、何か不服そうな表情をした。
 だがケルトは何故火有がそんな表情をするのか解からず、頭の
上に疑問符を浮かべているような表情で彼を見つめ返すだけだっ
た。
「……ケルト、お前さぁ、それ(・・)どうにかなんねぇの?」
 明らかに何もわかっていないと言うような表情をしているケル
トに、行儀が悪いとは思いつつ、肘をテーブルについて、立てた
手に顎を乗せながらそう尋ねた。
それ(・・)、ですか?」
 急に言われたことにますますわけが解からないというように、
眉をひそめ反芻しながら考え込むケルトに、火有はまだきづかねぇ
と思いながら溜息交じりに頷くと今度は
「そう、それ。その敬語。どうにかなんねぇわけ?」
 と明確な答えを含んで答えたのだった。
 苦笑したような表情でケルトを指差し言うと彼はむぅと表情を
さらに顰めて
「何でですか? 火有さんは僕より年上だし、いいじゃないですか!」
 と反論してきたのだった。
 だが火有はそれを聞き目を丸く見開くと、呆れたようにふぅ。
吐息を吐いたのだった。
「あのなぁ、お前王子だろ? 一応曲がりなりにもでもさ。そんな
奴が俺見てーなどこの人間かもわかんねーような奴に敬語で話し
てどうすんだよ。」
 そうケルトの額を小突きながら一息に捲くし立てると、小さく
「ま、俺のお前に対する口調も可笑しいけどな。」と付け足した
のだった。
 だがそれでも納得できないのはケルトのほうでなにやら難しい
表情で考え込んでしまった。
 火有のほうはそのケルトの様子に心の中で溜息をつき、頭を支
えていないほうの手をケルトの頭の上に置くと
「別に何も難しいことはいってねーだろ? 普通にしろっつってん
の。おまえ時々敬語じゃない口調が出てるから違和感まるわかり。」
 そう髪をぐちゃぐちゃにかき混ぜながらいうと、近くに置かれ
た熱い紅茶をなんの躊躇いもなく口に含み飲み込んだ。
「ん? 結構熱かったな。淹れ立てか?」
 舌に残った熱を確めるようにしてそう呟くとそのコップをソー
サーの上に戻したのだった。
 その火有の行動を見てケルトは、はっきりと驚きの表情をする
と「熱く……なかったの?」と呟いた。
 もちろんその呟きは火有に届き、彼は片眉だけを器用に顰めて
「んな訳ねーだろ。ちゃんと熱かったつっただろうが。」
 と呆れ混じりの声でそう言うと紅茶の近くにあった砂糖ポット
に入った角砂糖を
1つ摘み入れて掻き混ぜた。どうやら彼にとって
は苦かったらしい。
 そうやって混ぜた後、スプーンを置き紅茶を飲んだ。
 紅茶特有の渋みの後、砂糖の甘味が微かに残り火有はその下に
残る甘味に口元を少しだけ緩めた。
「そういやさっき、敬語直ってたな。」
 そうやっと気付いたように意地悪く言うと、ケルトは見る間に
紅くなってしまった。
 そして何事か呟くと照れ隠しに
「……早く、食べて街、行こう。」
 と呟いたのだった。
 火有はそれに「おう、そうだな。」と答えてスコーンを食べ始め
た。
 こうして朝の一時はゆっくりと過ぎていく。
ーENDー

城での生活はもしかしても無く彼が1番大雑把かもしれませんね
おおよそ遠慮も何も無い(笑)
唯我独尊天井天下?と妹に聞かれましたが何もそんな人間じゃないですよ
次は城下探索です

  
























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