嫌な予感再度的中
 
 
 
 店の前から離れて待ちの中を目的の人物がいるはずである場所
に向かっていると、ふと昨夜クリスティーアがいっていたことを
思い出してそれを尋ねようと隣で歩いている彼女に視線を向けた。
「そういえばクリスティーア殿から聞いた予定ではルクールドラ
メール殿は明日合流するはずではなかったか?」
 確かに昨夜彼女はルクールドラメールはあさって合流すると
いっていた。昨日での明後日は今日での明日になるのは周知のこ
とだし、そういった相手が今は目の前にいるということがおかし
なことでもあるのだ。
「ああ、はい。その予定でしたが?」
「大丈夫なのか? 引継ぎやらいろいろあったのではないのか?」
 ローグの不思議そうな言葉にルクールドラメールはすぐに頷い
て肯定してきたので、ローグは先ほどとは違う幾分心配と気遣い
が含まれた声で尋ねた。
 教皇と言う立場柄多忙であるということはいわずともわかる。
いずれ旅立つ宿命にあった彼ですら故郷での祭司としての仕事は
常に日々を忙殺させるほどに激しかったのだから、彼女の教皇と
しての仕事も多忙を極めることは確かだろうと思ったのだ。
「はい。でも兄…………アスール大司祭が教皇代行を務めてくださ
ることになりましたので、思ったよりも早く合流することができ
ました。ですから大丈夫です」
 彼女の説明にローグも納得して1つ頷いた。
 アスール大司祭というのはおそらく始めて教会に行ったときに
案内をしてくれたあのクリスティーアの奇行のとばっちりを受け
てしまった青年だろう。兄といっていたのを見るとおそらく、い
や間違いなく兄弟だろうと思う。
 そういわれてみてみれば確かにアスールとルクールドラメール
は性別の違いこそあれ随分と似ていると思う。主に外見ではなく
雰囲気が、だが。特に苦労を背負い込みやすい苦労性に近い性格
をしているのだろう場所はよく似ている。あまり似ていていい場
所とも思えないが。
 そこで会話をしようにも話題が殆どなくなってしまった2人は
沈黙したまま街の中を歩くことになってしまった。
 そうやって歩いていると目的の人物は思ったよりも早くに見つ
かった。といっても探している2人ではなく、その片方のみ、と
付け加えなくてはならなかったが。
「? シュヴァルツ殿のみか。クリスティーア殿はどうされたん
だ?」
 遠目でもわかりやすいあの少女の姿がないことに言いようのな
い嫌な予感が湧き上がって、あわててシュヴァルツの元に早足で
近づいた。
「シュヴァルツ殿!」
 なにやら嫌な予感がぬぐえずはっきりと顔立ちまでわかる距離
に来るとやや声を大きく上げてシュヴァルツをよんだ。
「! 祭司殿。巫女姫をご存知ありませんか? はぐれてしまった
んです」
 ローグの呼びかけに気がついたシュヴァルツはあわてた様子で
2人の傍に小走りに近づくとそう尋ねてきた。
 その言葉を聞いてローグが真正面からすっころんだのはいうま
でもない。
 かくしてローグ・シュヴァルツ・ルクールドラメールの果てしなく
重要で果てしなく切羽詰った、だがどこまでも果てしなく情けな
いクリスティーア捜索は否応なく開始されたのである。

 

−END−

  

やっと第五門終了です
というかクリスティーアの性格が一番トラブルっぽいですね
次はまたもやクリスティーアを探すはめに
迷子探しです
























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